国連、「包摂的な」AIガバナンスを検討する諮問組織を発足

Eileen Yu (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 矢倉美登里 高橋朋子 (ガリレオ)2023年10月31日 10時50分

 国連が人工知能(AI)に関する諮問機関の発足を発表した。潜在的なリスクの軽減に向けた管理のあり方を検討することを目的とし、「グローバルに包摂的」なアプローチを採用していくという。最新の調査において、消費者は企業を信用しておらず、企業が生成AIを責任をもって導入する、あるいはその使用に関する規制を順守すると考えていないとの結果が出る中での動きだ。

地球のイメージ
提供:MR.Cole_Photographer/Getty Images

 新しいAI諮問機関は学際的な性格を有し、AIの国際的ガバナンスに関する問題に取り組むと、国連のAnonio Guterres事務総長は述べている。

 諮問機関は現在39名のメンバーで構成され、シンガポール政府の最高AI責任者、スペインのデジタル化およびAI担当大臣、ソニーグループの最高技術責任者(CTO)、OpenAIのCTO、スタンフォード大学サイバー政策センターの国際政策責任者、中国政法大学のデータ法研究所教授など、政府機関や民間組織、学会の代表が名を連ねる。

 この1年間に、チャットボットやボイスクローニング、画像生成ツールなどのアプリケーションが登場し、AIは大きな可能性とともに、潜在的な危険をもたらしうることを示してきたと、Guterres氏は指摘する。

 一方で同氏は、AIが気候関連の行動や取り組みを推進し、国連が定める17の持続可能な開発目標(SDGs)を2030年までに達成するのに役立つ可能性もあると述べている。

企業のAI導入に対する消費者の不信

 しかし、AIの使用に関する規則が必要だと考えられても、それが順守されるかどうかについては疑問がある。

 技術コンサルティング会社Thoughtworksの調査結果によると、56%の消費者は、企業が生成AIに関する規則を遵守するとは信じていない。この調査は、オーストラリア、シンガポール、インド、英国、米国、ドイツなど、10の市場で1万人を対象に実施された。各市場で1000人ずつが回答し、全員が生成AIを認知していた。

 AIの利用に関して企業に責任を課すために、政府による規制が必要だとの回答が90%に上る一方で、企業コンプライアンスに対する消費者の不信感は明白だ。

 約93%の消費者は、生成AIの倫理的な使用について不安を抱いており、71%が同意なしに企業にデータを利用されることへの懸念を表明した。また67%が誤情報に関するリスクを不安視している。

 生成AIを導入する企業から購買したいかとの問いに対しては、42%の消費者が購買意欲が高まると答えた一方、18%は購買意欲が低下するとしている。

 生成AI導入企業からの購買意欲が高まると答えた消費者のうち、59%は、企業がこの技術をさらなるイノベーションに活用できると考えており、また51%は、企業によるサポートがより迅速になり、顧客体験が向上すると期待している。

 一方、生成AI導入企業からの購買意欲が低下すると答えた消費者のうち、64%は人間味の欠如を、48%はデータプライバシーへの懸念を理由に挙げた。

 また全体の91%が、データプライバシー、特に自身の情報がどのように使用、アクセス、共有されるかについて懸念を示している。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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