パナソニック、街演出クラウド「YOI-en」で地域活性化へ--日本の美「盆栽」をライトアップ

 パナソニック エレクトリックワークス社は、街演出クラウド「YOI-en」(ヨイエン)を使い、「さいたま市大宮盆栽美術館」を期間限定でライトアップすると発表した。観光庁が公募した「観光再始動事業」の採択を受け、実施するもので、インバウンドの促進や地域活性化を狙う。

 観光再始動事業は、観光回復の起爆剤となる特別な体験や期間限定の取り組みを自然、文化、食、スポーツなどの分野で創出するとともに、全世界に発信することで、インバウンドの本格的な回復を目指すというもの。さいたま市では、一般社団法人 さいたまスポーツコミッションとジェイコム埼玉・東日本が主催、さいたま市が共催する「『ツール・ド・フランスさいたまクリテリウム』をメインとした SAITAMA Wheel 2023」が観光再始動事業に採択されており、今回のライトアップはその一環として開催する。

 開催期間は、10月27日から12月10日までの金、土、日曜、祝日の計22日間。土曜は17~20時、金、日曜は17~19時(11月3日は17~20時、11月23日は17~19時)でライトアップされ、入場料は通常時と同じ310円(一般)になる。さいたま市大宮盆栽美術館で夜間での特別公開を実施するのは今回が初めて。ライトアップにより、普段は見ることができない幻想的な盆栽の世界を体感できるとしている。

 YOI-enは、インターネット経由で照明演出を制御できる照明システム。今回のライトアップでは、スマートフォンを使用して照明をコントロールできる、YOI-enを使った体験型コンテンツ「YOI-iro」を中景と近景で2つ用意し、照明演出を実施する。

 盆栽庭園全体には4種類、98台の照明を設置し、庭園に入って近くから見られるほか、庭園全体を見渡せる盆栽テラスから全景をみることが可能。「盆栽×宇宙」をテーマに据える。中景のYOI-iroでは、スマートフォンで二次元コードを読み取り、誕生日を入力すると、庭園全体の照明演出が12種類の中から選ばれた演出に変化する。

 一方、近景のYOI-iroでは、1階庭園のメイン盆栽にプロジェクションマッピングを表示。スマートフォンで二次元コードを読み取り、誕生日を入力すると、メイン盆栽に8種類の中から選ばれた惑星をテーマとしたプロジェクションマッピング演出を表示する仕組みで、プロジェクター、音響、照明を組み合わせた、YOI-en初の取り組みになるという。

 観光再始動プロジェクトでは、「これまでに一度も実施されたことがないもの等、新規性が高く特別なものであること」を、共通の要件として掲げており、YOI-enの採用は初の試みが盛り込まれていたことが採用理由の1つ。2022年に実施した「NAKEDヨルモウデ 2022 平安神宮」の事例を見て、パナソニックに声がかかったという。

 パナソニック エレクトリックワークス社 ソリューションエンジニアリング本部の青木昌広氏は「盆栽を下からライトアップすることで陰影を強調し、覗き込みたくなるような演出にしていること、庭を一望するテラスから、秋の代表的な星座であるアンドロメダ座が浮かび上がること、日本の美を表現する伝統的なライトアップをしていることの3点が見どころ。来訪者が回遊しながらシーンの変化を楽しめるようにしている」と説明した。

 YOI-enでは、11月に日本のクラウドサーバーからインドの照明演出を遠隔コントロールするほか、12月には横浜で、人の動きを識別して照明演出が変化するコンテンツを導入する予定。2024年度中には常設案件での運用を予定しているという。

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