74%が無自覚、14%が「隠れて」--パーソル総研、「ワーケーションに関する定量調査」

 パーソル総合研究所は、「ワーケーションに関する定量調査」の結果を発表した。直近で半年未満のワーケーション経験者3500人のうち、4人に3人が「無自覚ワーケーション」、14.1%が「隠れワーケーション」などを明らかにしている。

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 テレワークの延長として、「ワーケーション」という働き方が注目されている。政府・地方自治体は、ワーケーションを地方創生の切り札として捉え普及促進に力を入れており、ワーケーション関連のマーケットは拡大傾向にある。しかし、企業側のワーケーション導入率は5.3%と低く、ワーケーションに対して消極的、無関心といった人事担当者も多い。

 観光庁の定義に基づくと、「ワーケーション」には普段の職場や自宅とは異なる日常生活圏外の場所での多様な働き方が内包される。しかし、就業者個人が認識するワーケーションは、その一部しか捉えられていない可能性があるという。

 パーソル総合研究所は、ワーケーションを広義的に捉え、全体の効果傾向の確認やその要因を探るような調査研究はいまだ乏しいと判断。観光庁の定義に基づいた「ワーケーション」の経験者に焦点を当て、その実態と効果、効果を最大化するための要因などを明らかにすべく調査したとしている。

対象は全国の男女就業者10万9034人

 「ワーケーションに関する定量調査」の期間は6月5〜13日で、全国20〜69歳の男女就業者10万9034人が対象となった。それによると、全対象者のうち17.4%に「日常生活圏外の場所で仕事と自分の時間を過ごした」経験(=観光庁の定義に基づくワーケーション)を行なったことがあったという。また、組織やチームでなく、個人で行なうタイプのワーケーションが多く見られたとしている。

 
 

 ワーケーション経験者を目的に基づいて類型化したところ、個人ワーケーションを「仕事・観光充実タイプ」「息抜き集中タイプ」「他者奉仕タイプ」「仕事侵食タイプ」「動機低めタイプ」の5タイプに、グループワーケーションを「社内研修タイプ」「オフサイトミーティングタイプ」「地域堪能タイプ」の3タイプに分類できたという。なお、個人の5タイプでは、家族旅行中に仕事をする「他者奉仕タイプ」の割合が最も高かった。

 
 

 

 
 

 「日常生活圏外の場所で仕事と自分の時間を過ごした(=観光庁の定義に基づくワーケーション)」経験者に対して、ワーケーションの経験有無を確認したところ、「経験あり」が25.9%と、およそ4人に3人が「自分がワーケーションしていること」を自覚していなかったという。

 
 

 加えて、ワーケーション経験者(無自覚含む)の内、14.1%が他のメンバーに隠れてワーケーション(隠れワーケーション)を実行。特に、「息抜き集中タイプ」「仕事浸食タイプ」「動機低めタイプ」は、5人に1人が隠れワーケーションを行っている傾向があるとしている。

 
 

 ワーケーション経験者(無自覚含む)の所属企業先は、およそ半数がワーケーションを容認。残りの半数は、ワーケーションの取り扱い方針が出ていない、もしくは禁止されている。企業がワーケーションを容認している方が、隠れワーケーションは発生しにくく、隠れワーケーションはチームワークの悪い組織や私的コミュニケーションが少ないチームで発生しやすいという。

 
 

 

 
 

 地域への滞在期間中に有給休暇が充てられた割合(利用日数)は、個人・グループワーケーションのいずれも、約44%だった。

 
 

  就業者の主観的生産性について、仕事のでき具合も比較している。ワーケーション期間中を普段と比べると、6〜7割程度の生産性しか発揮できていなかったという。

 
 

 ワーケーション中の「職務効力感」(経験で得たものが自身の仕事に生かせるかを感じる度合い)の割合は、4割前後と観光群よりも20ポイント程度高い。一方、健康回復は、観光群よりも20ポイント程度低くなっている。

 
 

 ワーケーション後、仕事における意識・行動の変化や成果につながった割合は、4〜5割程度。これは、観光群よりも30ポイント程度高い結果となっている。

 
 

 ワーケーション後にはたらく幸せの実感が高まった割合は約5割で、観光群との差異は特段みられない。一方で、ワーケーション後にワーク・エンゲージメントが高まった割合は約4〜5割で、観光群よりも15ポイント程度高い。

 
 

 調査では、PCやインターネットなどのテクノロジーを利用したコミュニケーションにより、チーム内でメンバー同士が対面せず、地理的に離れた場所で活動する“チーム・バーチャリティ”の度合いで、組織を「分散型組織」「ハイブリッド型組織」「対面型組織」の3つに分類している。 その結果、分散型組織の割合はワーケーション経験者の約4割。ワーケーション後の組織コミットメントを確認すると、「分散型組織×グループワーケーション」のスコアが最も高かったとしている。

 
 

 
 

 なお、ワーケーション後の変化・成果、ワーク・エンゲージメントをみても、「分散型組織×グループワーケーション」のスコアが最も高かった。

 
 

 同社は、ワーケーション後の効果を高めるためには、ワーケーション中に感じる「職務効力感」を高めることがポイントになるという。

 
 

 また、ワーケーション中の「非日常感」「体験の多さ」「現地交流の体験」「偶発的な体験」は、「職務効力感」が高める傾向があり、「体験の多さ」「現地交流の体験」「偶発的な体験」は、「非日常感」に対しても正の影響を与えているという。

 
 

 調査では、ワーケーション後の効果を促進する組織的要因も確認している。特にチームワークの高い組織や私的コミュニケーションの多いチームほど、ワーケーション後の効果(「仕事における意識・行動の変化、成果」「はたらく幸せ実感」「ワーク・エンゲイジメント」)が高い傾向にあった。

 
 

 同社は、ワーケーションが有給休暇取得の促進やワーケーション後の前向きな意識・行動の変化などに良い影響があり、仕事においてプラスの効果が期待できそうであることが確認できたとしている。

 
 

 しかし、ワーケーションは多様であり、効果の程度はタイプによって異なると説明。「自己成長したい」「他者交流したい」など、明確な動機を持つワーケーションの効果は高い一方で、明確な動機がなく、消極的な状態で行うようなワーケーションの効果は低くなっている。これは、単に制度上でワーケーションを全面的に容認するのではなく、容認のあり方を工夫する必要性を示唆しており、目的の内容に応じて容認可否を判断するなど、企業と従業員の双方にとって意味のあるワーケーション制度の導入が必要だとしている。

 加えて、ワーケーションはチーム力を高める上でも有効な取り組みであるため、ワーケーション中の地域体験とあわせて、企業・チームにおけるワーケーションをしやすい雰囲気の醸成や、上司からのサポートも重要とまとめている。

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