Appleは「iOS」でバッテリーの消耗度を表す方法を早く改善すべきだ。現在の表示の仕方のせいで、「iPhone」所有者の間で混乱が生じている。大規模なアップデートであれ、小規模なセキュリティアップデートであれ、新しいiOSがリリースされるたびに、筆者のソーシャルメディアと受信箱は、自分のiPhoneのバッテリーについて心配する人からのメッセージであふれかえっている。
何を言っているか分からないという方のために、説明しておこう。
iPhoneを手に取って、「設定」をタップし、「バッテリー」>「バッテリーの状態と充電」の順に進んでほしい。
その画面に、「最大容量」のパーセンテージが表示されているはずだ。
最大容量は、最初は100%になっており、iPhoneの充電と放電が繰り返されるにしたがって、徐々に減少していく。
本記事の狙いは、この数値に関するいくつかの誤解を解くことにある。
最大容量の数値は、バッテリーの全体的な消耗度を示すものではなく、「新品時と比較したバッテリー容量の基準」である。言い換えると、バッテリーが保持できる電力の容量を表している。
容量が少なくなると、バッテリー持続時間が短くなる。
だが、これはバッテリーの状態を示す指標としては不十分だ。この数値が90%台であるにもかかわらず、バッテリーが機能しなくなった事例を見たことがあるし、この数値が70%台であるにもかかわらず、何とか動作し続けているiPhoneを見たこともある。
アップデートが原因でバッテリーが消耗することはない。バッテリーを消耗させるのは、iPhoneを使う時に通常行うバッテリーの充電と放電、バッテリーの過熱などだ。低品質の充電器やケーブルの使用が原因になることも、ごくまれにある。
また、iPhoneを充電しっぱなしにしたり、いつも充電を途中でやめたりしていると、誤った最大容量の数値が表示されることがある。アップデート後に数値が急増した事例を見たこともある。だが、それらがバッテリーの消耗を引き起こしているわけではない。iOSが誤った数値を表示する原因になっているだけだ。
こうした誤解が広まっているのは、Appleが掲載している情報に原因があると思う。
Appleは充電サイクルとそれがバッテリーに及ぼす影響に関する情報を公開している。それによると、iPhoneのバッテリーは、「フル充電サイクルを500回繰り返した時に、本来の容量の最大80%を維持できるように設計」されているという。
これを読むと、最大容量が80%まで減ると、バッテリーが使えなくなるという印象を受ける人もいると思う。
バッテリーは間違いなく消耗しているが、新品時に持続時間が10時間だったとすると、それが8時間になるというだけのことだ。これを問題だと感じない人もいるかもしれないし、そのバッテリーはまだ何カ月も使用できるかもしれない。
ここには、2つの問題がある。
おそらく、Appleはこの情報を提供することで、ユーザーの役に立ちたいと考えていたのだろう。あるいは、単に「設定」アプリの画面上のスペースを埋めたかっただけなのかもしれない。
いずれにせよ、これは1つの数値に過ぎず、バッテリーの全般的な状態を表すものではない。Appleはこの数値の表示をやめて、充電サイクルなど、もっと意味のある数値に置き換えた方がいいだろう。バッテリーの状態を表す、もっとうまい方法を考え出してもいいかもしれない。
ちなみに、この数値は最新の「iOS 17」ベータ版でも削除されていない。
その問題とは、頻繁に充電する必要があることだ。1回充電すれば、何日も使える時代は終わった。
逆に言うと、私たちがiPhoneにかけている負担の大きさに対して、バッテリー容量が少なすぎるということだ。
iPhoneのバッテリーを毎日ほぼ完全に使い切っている場合、約1年4カ月で500回の充電サイクルに達する。バッテリー容量の約50%を毎日使用している場合は、約3年かかることになる。
筆者自身と他の人の使用状況を見ると、多くの人は1回の充電で何とか1日を乗り切っている感じだ。したがって、同じような人は2年以内に500回の充電サイクルに達するだろう。
この問題を解決する方法は3つある。ユーザーがiPhoneの使用を減らすこと、Appleがより大容量のバッテリーを搭載すること、そして、iPhone所有者にバッテリー交換の権利を認めることだ(最後の解決策は、「Android」スマートフォンにも当てはまる。Androidデバイスのバッテリーも同じように消耗するからだ)。
解決策は、以上である。
バッテリーを長持ちさせる方法についてブログ記事やYouTube動画は次から次へと公開されているが、何をやっても、バッテリーの最大容量の数値をずっと100%に保つことはできない。たとえiPhoneを引き出しの中に入れっぱなしにしたとしても、それは不可能だ。
時間の経過と共に、バッテリーが消耗していくのは避けられない。
最善の解決策は、かつてのガジェットのように、所有者が自分で簡単に交換できるバッテリーをAppleが設計することだ。それが実現するまで、バッテリー消耗の問題が解決されることはないだろう。そして、所有者はバッテリーを交換してもらうか、それとも新しい端末を購入するかの選択を迫られる。
なぜなら、物理の法則を変えることはできないからだ。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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