ジーオー・ファーム、完全陸上養殖で「あたらないカキ」を開発--稚貝から成貝まで成育

 ゼネラル・オイスターは8月4日、子会社のジーオー・ファームが世界初となるカキの完全陸上養殖を行い、“あたらないカキ”を開発したと発表した。

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 ジーオー・ファームは、2012年から沖縄県久米島で研究開発を開始。2013年には、東京大学生物生産工学研究センターと、カキの餌料となる微細藻類の大量培養に関する共同研究を行っている。

 今回、カキの完全陸上養殖により“あたらないカキ”を開発した。ノロウイルスを始めとするウイルス、細菌類、貝毒など、人に害を与える病因を含まない環境下で完全陸上養殖により生育されている。今後は、量産化を目指し、事業を推進していくという。

 同社によると、カキのノロウイルス汚染を排除するため、生食用カキについては、出荷前に紫外線照射水などによる浄化を20時間程度行っているところが多いという。

 その方法では、カキの中腸腺に蓄積濃縮されたウイルスの多くは除去できても、完全な除去は困難とし、同社では、食品衛生法に定められた基準よりも厳しい、自社基準に従った検査体制を確立。年間2000検体以上のノロウイルス検査を実施するなど、カキのリスクを限りなく低減することに取り組み、ノロウイルスが検出されないロットのみを流通する。

 カキのリスクをなくすためには、カキを汚染しているウイルスの完全な除去方法、ウイルスを殺滅する浄化方法の開発、ウイルス汚染のない環境でのカキの飼育などが必要とされてきた。

 そこで、同社では、完全にノロウイルスの存在しない海水として、海洋深層水を養殖海水に使用することに着目。ノロウイルスの存在しない環境で、カキの完全陸上養殖に取り組んできたという。

 しかし、海洋深層水には、人に害を与えるウイルス・細菌が存在しない代わりに、カキのエサとなる微細藻類(植物プランクトン)も存在ない。そのため、微細藻類においても、海洋深層水の清浄性と富栄養性を活用した大量培養技術や、無菌培養技術を確立した。

 なお、国内外では、陸上での種苗採卵や稚貝と呼ばれる1〜3cm程度までの生育は行われているが、その後は海域に移動し生育されている。これは、稚貝以降成貝までに必要とする大量の餌料(微細藻類)培養が困難なことが大きな要因となっている。

 微細藻類の大量安定培養技術および、完全陸上で成貝まで成育させる飼育技術を確立したことで、ノロウイルスフリーの“あたらないカキ”を実現した。

 また、完全陸上養殖により生育したカキの味に関しては、水産研究・教育機構との共同研究による遊離アミノ酸の分析結果より、甘味の強さが特徴として挙げられているという。

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 海域養殖カキと比較しても、タウリン、グルタミン酸、アラニン、プロリン、遊離アミノ酸のータル量が高値を示している。

 今後は、IoT技術などを駆使した量産化施設の建設を検討。量産化ファーストステップは年間数十万個、その後のセカンドステップでは年間数百万個の生産を想定する。

 さらに、カキの栄養機能性、旨み成分をコントロールする技術開発などを予定。同研究においても、水産研究・教育機構との共同研究を行うという。また、各研究機関との連携を予定し、出荷前の味上げ技術やカキにおける栄養機能性をテーマにした研究に取り組んでいくという。

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