最新フラッグシップ「Beats Studio Pro」が登場--約80%音の歪みを削減

 ファッショナブルなオーディオ機器を展開することで人気を博すBeatsは、新しいフラッグシップヘッドホンとして「Beats Studio Pro」を7月19日に発表。出荷開始は8月10日、日本での販売価格は4万9800円となっている。

 ヘッドホン、イヤホンにも製品をラインアップしている「Beats Studio」という名称は、2008年に始まったBeatsのファーストモデルから踏襲されている、Beatsの象徴的フラッグシップシリーズに付けられる。特にオーバーイヤーヘッドホンは、Beatsの代名詞ともいえる製品であり、4世代目となる最新モデルでは、音質はもちろん、デザイン性や接続性といった機能面にまで、妥協のないアップグレードが施されている。

iPhone、Androidユーザーのどちらでも快適に使えるBeats Studio Pro

 Beatsは米アップルファミリーのオーディオブランドということもあり、多くの製品において、iPhoneをはじめとするアップル製品との互換性がいいのが特徴。とはいえアップルの純正ブランドではないため、Androidユーザー向けのサポートも行われているのが、他のオーディオメーカーには真似できない強みだ。


 先に販売されているBeatsの完全ワイヤレスイヤホン「Beats Studio Buds +」と同様に、Beats Studio Proは独自開発のチップセットを搭載することで、iPhone、Androidスマートフォンの両方でのワンタッチペアリングや、デバイスを探す機能が利用できる。

 また、iCloudアカウントやGoogleアカウントにBeats Studio Proの情報を登録することで、同一アカウントでログインしている別のデバイスとも、シームレスにペアリングができるようになる。

 iPhoneの場合は、Beats製品は設定アプリから直接コントロールできるようになっており、ソフトウェアのアップデートも自動的に行われる。Androidスマートフォンの場合は、Google Playストアで配信されているアプリからアップデートを行う。

前モデル比で約80%音の歪みを除去


 Beatsは、「Beats Studioは、没入感あふれるサウンドが愛されているシリーズであるため、音響設計を1から考え直すことから着手した」と話しており、内部のパーツに大幅なアップデートを施している。

 内蔵ドライバーは前モデルに引き続き40mmだが、設計は新しくなっており、効率性に関わる内蔵磁石が約25%強力に。振動版は精度の向上とバランスの改善に寄与する2層構造を採用。また、精密なマイクロベントアレイ、音響メッシュを採用することで通気が最適化され、大音量で音楽を再生しても、音の歪みが低減されている。これらのアップグレードをかけ合わせることで、全体の音の歪みは前モデル比で約80%も削減したとのこと。

 また、没入感のあるリスニング体験のため、モーター加速度センサーやジャイロスコープといったセンサーを内蔵し、空間オーディオ機能にも対応。Dolby Atomsでレンダリングされた音楽や映画を、より立体的に楽しめるようになり、頭の位置に合わせて、音の響き方、鳴っている方向が変わる「ダイナミックトラッキング」もサポートしている。また、iPhoneのTrueDepthカメラ(インカメラ)で耳をスキャンすれば、アップル製品で利用できる空間オーディオプロファイルを作成できる。Beatsいわく、「64台のスピーカーに囲まれているような感覚」が味わえるとのことだ。

 近年のハイエンドヘッドホン、イヤホンでは定番となりつつあるアクティブノイズキャンセリング(ANC)機能も搭載。ANC専用プロセッサ、デジタルマイクを活用することで、周囲の環境に合わせてノイズの除去レベルを調節できる。

 デジタルマイクはイヤーカップ内部、外部の両方に搭載されており、外部のマイクで周囲の音をモニタリング、内部のマイクがイヤーカップ内部に入り込んだノイズを遮断する。また、再生補正アルゴリズムがオーディオを分析し、ANC処理によって発生したジーク音も除去することで、ノイズを徹底的に除去できる。ANCマイクを活用することで、逆に周囲の音を取り込める、外部音取り込みモードにも対応している。

 通話時に使用するマイクは、7000時間を超える実環境のノイズで訓練された機械学習プログラムと組み合わせることで、前モデル比で音声の鮮明度が最大27%向上している。


 そのほか、Bluetoothのバージョンは5.3、再生デバイスとの距離がある程度離れても、安定した接続を維持できるClass 1 Bluetoothに対応。バッテリー持続時間は、Beatsのヘッドホン史上最も長い40時間(ANCオン時は24時間)で、10分の充電で約4時間の連続再生が可能となる急速充電にも対応している。内部パーツはかなりアップグレードされているものの、質量は前モデルと変わらず260gとなっている。

3.5mmアダプタ、USB-Cによる有線接続にも対応

 Beats Studio ProはBluetooth接続ができるヘッドホンだが、3.5mmアダプタによる有線接続にも対応している。さらに、本モデルより新たに、充電とリスニングが同時に行えるUSB-Cオーディオにも対応した。USB-Cオーディオでは、最大24bit/48kHzのロスレスで、ハイレゾ音源の再生ができる。

充電とリスニングが同時に行えるUSB-Cオーディオにも対応
充電とリスニングが同時に行えるUSB-Cオーディオにも対応

 USB-Cオーディオを使用している際には、「Beats Signature」「Entertainment」「Conversation」という3つのプロファイルに切り替えることができ、再生するコンテンツに合わせて、周波数特性を調整できる。

 動画視聴やゲームといったエンタメコンテンツ用のプロファイルや、通話用のプロファイルは、長年ユーザーから搭載を希望する声が上がっていたとのこと。ヘッドホンがただの音楽再生ツールではなく、日常生活で使うデバイスとして浸透してきた証でもあり、Beatsとしても、時代の流れに沿ったアップデートといえるだろう。

 時代の流れを汲んだのは、デザイン面にも表れている。冒頭でも触れた通り、Beatsのヘッドホンはファッションアイテムの一部としても受け入れられている、洗練されたデザインも特徴の1つ。Beats Studio Proでは、デザイナーのサミュエル・ロス氏と協業し、過去のデザインを踏襲しながら、ロゴやヒンジの部分にブラッシュメタルを採用するなど、メタリックで高級化のあるデザインになっている。

サミュエル・ロス氏
サミュエル・ロス氏

 カラーバリエーションは、昨今のファッション業界のトレンドを押さえ、男女問わず手に取りやすい、サンドストーン、ディープブラウン、ネイビー、ブラックの4色展開。Beatsは、「幅広いユーザーに試してほしいが、音楽に対する愛情を表現したい人、製品のデザインを重視しているユーザーに受け入れてもらえる」とコメントしている。

ブラック、ネイビー、サンドストーン、ディープブラウンの4色展開
ブラック、ネイビー、サンドストーン、ディープブラウンの4色展開

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