スケルトンデザインは、やはりかっこいい。
Beats by Dr. Dreの新型イヤホン「Beats Studio Buds +」は3色展開だが、ブラックとアイボリーを抑えて、目下話題をさらっているのがトランスペアレント(透明)だ。中が透けて見えるスケルトンデザインに引かれる人は多い。1980〜90年代の熱狂的なスケルトンブームを経験した人なら、なおさらだ。当時のブームでは、任天堂「ゲームボーイカラー」のクリアタイプ、半透明の「iMac G3」といった名機が生まれた。
ここで延々と色の話をするつもりはないが、念のために言っておくと、Beats Studio Buds +のシースルーのプラスチックカバーは、つや消し加工がほんのりと施されており、完全な透明ではない。しかし、同じく半透明のデザインで話題になったNothingの「Ear (stick)」よりは透明度が高く、見た目はさらに涼しげだ。
色の話はこれくらいにして、本題に入ろう。読者の関心は、Beats Studio Buds +の性能はどれほどか、2年ほど前に登場し、Beatsにとって予期せぬ大ヒット製品となった初代「Beats Studio Buds」とどう違うかではないだろうか。
まずは価格を確認しよう。新しいBeats Studio Buds +は169.99ドル(日本では税込2万4800円)だ。初代Beats Studio Budsより20ドル(日本では3000円)高いが、外見上の違いはほとんどない。充電ケースも、細かい外観の変更を除けばほぼ同じで、イヤーバッド本体の形や大きさも変わっていない。重さは1gだけ重くなっている。
筆者の場合、初代のイヤーチップはLサイズが耳に合ったが、新モデルもフィット感は上々だ。ただ初代のイヤーチップは耳が小さい人から収まりが悪い、落ちてしまうという声があったため、Beatsの親会社であるAppleは、「AirPods Pro(第2世代)」にならい、S、M、Lに加えてXSのチップも同梱することにしたようだ。耳が小さい人にとっては朗報だろう。しかし、すべてのイヤホンに言えることだが、全員が完璧なフィット感を得られるとは限らない。
初代と同様にタッチコントロール機能は搭載されていないが、左右それぞれのイヤーバッドにコントロール用の物理ボタン(「b」ボタン)が配置されている。個人的には好きな方式だ。静音性が向上し、クリック感も低減しているため、イヤーバッドを耳に入れた状態でボタンを押してもクリック音はしない。ちょっとした違いだが、初代を持っている人にはうれしい変化だろう。
大きく進化したのはイヤホンの内部だ。Beatsによれば、部品の95%が新しく改良されたという。イヤーバッドの「アコースティックアーキテクチャ」も刷新された。スピーカードライバーは変わっていないが、より強力な新カスタムチップセットが採用されている。各イヤーバッドには初代より3倍大きく、より感度の高い新型マイクロフォンが3つ搭載された。
マイクの配置も見直され、ベントが新設されたことで、ノイズキャンセリングだけでなく、音声通話の性能自体が大きく向上した。周囲のノイズの低減や声の拾い上げはAppleのAirPods Pro(第2世代)と肩を並べる(テスト通話の様子は末尾のレビュー動画で確認できる)。
音は澄み、全体として特に低音の響きが良くなった。音の洗練度や繊細さはソニーやSennheiserの高級イヤホンには及ばないが、大胆で迫力のあるサウンドは最近の音楽、例えばポップスやヒップホップ、EDM、あるいはカントリーに合う。正確さと音の純度は今ひとつなので、オーディオマニア向けのイヤホンとは言い難い。しかし、イヤーバッドを正しく装着できてさえいれば、このサイズのイヤホンとしてはとても良い音を楽しめる。
音質の向上は、新しい高速プロセッサーを搭載し、デジタル処理が改善したことによるところが大きい。この新プロセッサーは「AirPods」シリーズに搭載されている「H1」、「H2」チップに近い(ちなみに「Beats Fit Pro」にはH1が搭載されている)。しかし、このBeats用にカスタマイズされた新チップは、前述したApple製チップのすべての機能をサポートしているわけではない。
初代モデルと同様に、Beats Studio Buds +はAppleユーザーとAndroidユーザーの両方を対象としている。AndroidユーザーはBeatsアプリをダウンロードし、Googleが提供しているワイヤレスイヤホンのペアリング技術「Fast Pair」を活用できる。また、Beats Studio Buds +はBluetooth 5.3に対応している。
興味深いことに、AndroidユーザーはBluetoothのマルチポイントペアリング機能を使うことで、自分のGoogleアカウントとひも付けている複数のデバイス(「Chromebook」を含む)を自動で切り替えられる。しかしAppleユーザーの場合、「iCloud」アカウントにひも付けられるものの、デバイスの切り替えは手動で行わなければならない。ただ、自動切り替えは動作が安定せず、イライラさせられることがあるため、手動の方がいいという人もいる(筆者はまだ試していないが、BeatsによるとBeats Studio Buds +は「iPhone」と「Apple Watch」の両方とペアリングでき、iPhoneが圏外になると音声が自動的にApple Watchに引き継がれるという)。
Appleユーザーにできて、Androidユーザーにできない唯一のことは、Appleの音声アシスタント「Siri」をハンズフリーで使えることだ。Appleユーザーは、「Siri」というウェイクワードを口にするだけで、Siriにアクセスできる。ドルビーアトモスによる空間オーディオで曲を聴くことはできるが、ヘッドトラッキングによる空間オーディオで映画を観ることはできない。また、イヤホンを耳から外すと音楽が一時停止し、戻すと再開される自動耳検出機能の搭載も再び見送られた。通話は、左右いずれかのイヤーバッドでできる。また「探す」機能は紛失したイヤホンの場所を特定する助けになるが、AirPods Pro(第2世代)ほどの精度はない。
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