パナソニック エレクトリックワークス社は、7重点事業の1つにもなっている海外電材におけるインドの取り組みについて説明した。7つの工場と30の営業拠点を構え、製販一貫体制を強みに、インド全域で事業を展開している。
パナソニック株式会社では、空質空調設備、海外電材、エネルギーソリューション、CO2冷凍機、国内電材、ショーケース、国内白物を7重点事業と位置づけている。中でも成長領域の1つである海外電材は、売上高で24%(2435億円)、EBITDAで41%(304億円)を占め、インド、トルコ、ベトナムの重点3カ国で、計画を上回る実績だという。
インドは、人口が14億756万人(2021年調べ)と日本の約11倍で、国土も約329万平方キロメートルと日本の約9倍。「これだけの規模感と成長が同時に実感できる場所はなかなかない。中国がかつて描いた急成長カーブをインドも描くのではと注目されている。人口ピラミッドも若年層が多く理想的。労働力があり、中所得者層が増えている」(Panasonic Life Solutions India Deputy Managing Directorの加藤義行氏)と分析する。
パナソニック エレクトリックワークスインドは、2007年にインドでシェアナンバーワンだった配線器具会社、ANCHOR Electricalを買収し、インドでの事業を拡大。「アンカーは1963年に設立され、2023年で60周年を迎える。インドでは60年以上続く数少ない企業の1つ」(加藤氏)とし、現在でも、普及価格帯の製品にはアンカーブランドを冠する。
コア事業として配線、電線、ライティング、IAQ(Indoor Air Quality)などを手掛けるほか、新規事業としてソーラー、EVチャージャー、ハウジングなども担う。2022年度の売上約830億円のうち、約4割を配線事業が占め、アンカー時代の1993年に登場したモジュラータイプの「ROMA」モジュラーは現在でも販売が続くベストセラーだ。
中核工場の1つとなるハリドワール工場は、アンカーから受け継いだもの。「買収当時は清掃から始めた。工場内は照明が行き届いておらず手元が暗い状態。日本のメンバーがかなり入り込んで、ラインづくりから整備を進め、現在の形を整えた」(加藤氏)と改善を重ねてきた。その後、2018年にはハリドワール工場に「UNIT2」を増床、2022年にはスリシティ工場を建設し、「買収した2007年度当時の売上が130億円で、2022年は約830億円と、6.4倍にまで成長した。その間、生産性向上に取り組み、人を増やさずやってきたことが特徴」(加藤氏)と生産効率も追求する。
現地では、製造力を増強すると共に、商品、事業開発力から販路開拓まで、開製販一貫体制を整えていることが強みの1つ。「商品の企画開発から一気通貫でやることで抜けもれなくスピーディな開発ができる。これらは日本の市場で培ってきたもの。同様に創業時から市販チャネルを磨き上げ、現在4500社以上の取引先を持つ。2020年からは販路とともにチャネルの拡大も進めている。パナソニックは、日本の技術力をいかしながら、商品の開発力、製造力、販売で卓越した力を持っている。これに徹底したアフターサービスまで提供できるのが私たちの強み」(加藤氏)と盤石の体制を敷く。
今後については、「商品力、製造力、営業販路に加え、磨き上げるもう1つのポイントはSCM(サプライチェーンマネジメント)力。国土の広いインドに隈なく商品を届けるために重要なポイントになる。日本でも、PX(パナソニックトランスフォーメーション)やIT化が生産計画を引っ張っているが、このインド版に取り組む」(加藤氏)とし、拠点の集約や倉庫オペレーションの改善に着手。物流コストと在庫日数は、2018年比で約3割減を達成しているという。
今後見据えるのは、インドを拠点とした輸出事業だ。輸出先は中東、東アフリカなど。「東アフリカはインドから距離が近く、今の事業の延長線上ですすめていける。加えてインドから移住した人が多く、販売に関しては印僑のネットワークを活用できる。インドのダマン工場を輸出拠点に据え、早い段階で実績を上げたい」(加藤氏)とインド国内に続き、海外展開を加速させる構えだ。
取材協力:パナソニック エレクトリックワークス社
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