Instagramベースの「Threads」はポストTwitterの本命か--高まる期待と懸念点

 Metaの会長兼CEOであるマーク・ザッカーバーグ氏は米国時間7月5日、テキスト共有アプリ「Threads」(スレッズ)を発表した。

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 当初、7月6日23時スタートとして、iOSアプリのダウンロード予約や「Instagram」でのチケット配布などを行っていたが、前倒しでの開始となった。ThreadsはiOSとAndroid向けに100カ国以上で提供され、マーク・ザッカーバーグ氏のThreadsによると、開始から7時間で1000万人を突破しているという。

マーク・ザッカーバーグ氏のThreadsでユーザー数が発表された
マーク・ザッカーバーグ氏のThreadsでユーザー数が発表された

 前倒しの背景には、「Twitter」の混乱ぶりも影響したのかもしれない。Twitterは7月1日頃から、閲覧数の制限措置を行っている。

 そのため、1日の閲覧数を超えたユーザーには「API呼び出しの回数制限を超えました」と表示され、ツイートを見ることができなくなってしまった。普段からTwitterをヘビーに使っているユーザーだけでなく、検索ツールとしてTwitterを利用しているユーザーにもかなり不便な状況だ。制限は一時的な措置とされているが、要因であるとされているデータのスクレイピングなどに対応できるシステムやサーバーの構築には費用も掛かる。いつまで制限を続けるのか、先行きが見えない状況だ。

 イーロン・マスク氏がTwitterを運営するようになって以降、Twitterに変化が起きるたびに「ポストTwitterとなるサービスはどこか」が話題となる。これまで、Twitterの共同創業者ジャック・ドーシー氏が出資した「Bluesky」や「Nostr」のほか、「Mastodon」などの分散型SNSなどが候補に挙がっていた。特にBlueskyは注目度が高く、招待制ではありながら、Twitterの閲覧制限騒動でユーザーが増えていた印象だ。

 そうしたなか、「Facebook」やInstagramを運営するMetaが、テキスト共有アプリとなるThreadsをリリースした。ポストTwitterの本命として期待されてきたThreadsとはどんなアプリなのか、早速使い勝手を見ていこう。

Twitterに似ているがそれだけではないThreads

 Threadsは一見してわかるように、非常にTwitterに似ている。テキスト、画像、動画、リンクを投稿でき、いいねやコメント、再投稿、引用、シェアが可能だ。とはいえ、Twitterの無課金ユーザーよりもリッチな投稿が可能で、最長500文字までのテキストを投稿でき、画像や動画は合わせて最大10枚、動画は最長5分までとなっている。ただし、ハッシュタグは実装されておらず、検索も投稿ではなくアカウントに対してのみとなっているなど、Twitterのような検索ツールとしての使い方はまだできない。

 
Metaのテキスト共有アプリ「Threads」
Metaのテキスト共有アプリ「Threads」

 Threadsを使い始めるには、Instagramのアカウントが必要だ。プロフィールはInstagramに記載したものを引き継ぐか、新規に登録できる。アカウントは公開か非公開にするかを選択できる。また、Instagramでフォローしているアカウントを、Threadsでもフォローできる。

 新たなSNSに登録すると、始めたものの知り合いがひとりもいない状況になりがちだが、ThreadsではInstagramの知り合いを簡単にフォローできる。そこで、Threadsを始めた途端、フィードはかなりにぎやかになる。そもそもThreadsはフォローしている人以外の投稿も表示するアルゴリズムなので、知り合いがいなくても常に新たな投稿を見られる。

 Instagramらしい安心安全対策も施されている。自分にメンションできる人や投稿に返信できる人を「メンションした人のみ」などに制限できるのだ。また、非表示ワードを設定して、特定の単語を含む返信はすぐに表示されないように設定もできる。Instagramでは多数のフォロワーを持つインフルエンサーをメインによく利用されている機能で、誹謗中傷から自分を守ることができる。

「Threads」は自分に接してくる人や言葉をコントロールできる
「Threads」は自分に接してくる人や言葉をコントロールできる

 もうひとつ、Twitterとの大きな違いがある。それは、近日中に分散型SNSの標準プロトコル「ActivityPub」に対応する予定であることだ。これにより、Mastodonや「WordPress」のようなActivityPubをサポートするほかのプラットフォームと相互運用が可能になる。例えば、「@ユーザー名@threads.net」のようなユーザー名を使って、他のプラットフォームのアカウントをフォローしたり、交流したりできるようになる。Twitterのような中央集権型SNSでは運営企業の意向に沿うしかないが、分散型の場合は自分のアカウントをほかのプラットフォームに移行するなどして運用できる。

一気にユーザーを獲得したThreadsに大きな期待

 はたしてThreadsは、ポストTwitterになるのだろうか。懸念する点としては、ThreadsがInstagramをベースにしていることだ。

 TwitterとInstagramは、同じSNSだが使われ方は対極とも言える。Twitterを愛用しているユーザーは、そのアカウントが誰であるかよりも、面白いツイートや興味があるツイートを見たいだけであり、むしろ人とのつながりはいらないと考えている人も多い。しかし、Instagramは、リアルの友人やインフルエンサーのような発信者の投稿を見たくて利用している人がほとんどだ。また、Twitterは本音を語る場所としても使われている。Instagramのような“キラキラ”投稿をする場所とは使い分けられてきた。

 ThreadsはInstagramのフォロー関係を完全に引き継ぐ必要はないが、自由にThreadsを使いたい場合は、新たにInstagramアカウントを作って運用しなければならない。また、InstagramをFacebookと連携させている人のほとんどが、実名制のFacebookとInstagramでは公的な自分としての発信を行っている。そうした人たちはThreadsでも同様に、誰に見られても困らないような投稿をするだろう。少し息抜きしたい、と思ったとき、Twitterの気軽な世界が恋しくなるかもしれない。

 とはいえ、Instagramは国内での勢いが華々しい。公式に数値は発表されていないが、2019年の国内の月間アクティブアカウント数3300万から、現在も右肩上がりであることが公表されている。フィード、ストーリーズ、リール、ライブ、DMなど、様々な機能を備えており、プラットフォームとしては強力だ。Instagramのフィードやストーリーズへの投稿にハードルを感じていた人はテキストのThreadsなら投稿できるかもしれないし、InstagramのコメントやDMに躊躇していた人もThreadsでの交流は楽にできるだろう。拡散力の面ではTwitterにはかなわない側面があったが、これからはInstagramの投稿をThreadsで拡散することで、世界が大きく広がる可能性がある。

 ThreadsがポストTwitterとなるかと問われれば、同じ役目は果たせないだろう、と答える。しかし、SNSは人が多くいるところに、人が集まっていくものだ。一気にこれだけのユーザーを集めたThreadsは、他の候補にはない大きなポテンシャルがある。これまでMetaが培ってきたSNS運営のノウハウやテクノロジーも大いに活かされるだろう。今後の展開が非常に楽しみだ。

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