経済産業省が所管する日本貿易振興機構(JETRO)は、起業人材の米国渡航を促進する長期滞在型プログラム「Beyond Japan Zero to X」(Beyond Japan)の募集受付を7月10日に開始する。
岸田文雄内閣が掲げる「スタートアップ育成5カ年計画」に記載されている「5年間で1000人規模の企業人材の海外派遣を目指す」との方針に基づく取り組みとなる。
「アメリカへ飛び出そう」と銘打つ同プログラムでは、米国への渡航費や宿泊費、プログラム費を国が全額負担する。対象はスタートアップや、米国展開を考える日本企業の社長や創業者、および新規事業や海外展開の責任者などを想定する。また、米国展開を含む具体的なビジネスアイデアを有する人も受け付けるという。
応募者の中から選考を通過した約120人は、日本国内でのオンラインの事前研修と追加の選考を経て、最終的に60人がロサンゼルス、サンディエゴ、オースティンのいずれかに滞在できる。
現地では、滞在時間を最大限に有効活用できるプログラムを用意するという。具体的には、事業アイデアの現地での検証やMVPの作成、顧客獲得などを行えるほか、 国際的な人脈を有する現地アクセラレーターによる実践的なトレーニングも受けられる。さらに事業フェーズに応じたカスタムプログラムも用意する。現地での滞在は2、4、8週間から選択できる。
JETROはこれまでも起業家の海外派遣プログラム「始動~Next Innovator~」を展開していたが、派遣先がシリコンバレーに限られ、かつ期間も10日間と短かった。新たに開始するBeyond Japanはその拡大版との位置づけで、さらにシリコンバレー以外の米国の都市に目を向けさせる狙いがある。
例えばロサンゼルスでは、美容や食品、AIやITなどの消費者向けテックやメディア、エンターテイメント、製造業や環境産業も盛んだといい、サンディエゴでは西海岸最大のライフサイエンスクラスターが形成されているという。さらに、テキサス州のオースティンは半導体などの精密機器に加え、宇宙や軍事産業との連携が強いなどシリコンバレー初期の特徴を有するとする。
参加者は、自身の事業やアイデアの特性を踏まえて、上記3都市の中から滞在先を選択し、北米マーケット特有の分野や商慣習、社会的な行動規範を踏まえたサポートやトレーニングを受けられる。
Beyond Japanの提供にあたっては、米国進出を目指す日本のスタートアップを支援するLaunchStarzのほか、ベンチャーキャピタルのPlug and Play Japanらもサポートを提供する。
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