ヒョンデとCCCが協業--モビリティデータ活用した新たなライフスタイルの提案へ

 韓国Hyundai Motorと日本の子会社となるHyundai Mobility Japan(ヒョンデ)、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)は6月22日、ゼロエミッション・ビークル時代の共創パートナーとして協業すると発表し、基本合意書の調印式を実施した。

 走行時に二酸化化炭素などの排出ガスを出さない電気自動車(EV)や燃料電池自動車(FCEV)の総称となる「ZEV(Zero Emission Vehicle)」を活用したライフスタイルの先導、共同サービスの開発などで協力する。新しいライフスタイルを実現できる「ZEV文化」の拡大を目指すという。

(左から)Hyundai Motor Company 代表取締役社長 兼 CEO 張在勲氏、カルチュア・コンビニエンス・クラブ 代表取締役社長 兼 COO 高橋誉則氏
(左から)Hyundai Motor Company 代表取締役社長 兼 CEO 張在勲氏、カルチュア・コンビニエンス・クラブ 代表取締役社長 兼 COO 高橋誉則氏

 具体的には、(1)新たなモビリティサービスの創出、(2)ZEV拡大のためのデータマーケティング協業、(3)グローバルEV体験プラットフォーム開発およびその拡大――の3つを主要協業領域と選定し、各領域で関連協業モデルを展開する。

 (1)新たなモビリティサービスの創出では、6月23日から東京都渋谷区にある「代官山T-SITE」で、ヒョンデのカーシェアリングサービス「MOCEAN」(モーシャン)を開始する。ヒョンデが横浜と沖縄で提供中のサービスで、同社のEV「IONIQ 5」と専用充電器を利用可能。CCCが展開するそのほかの拠点への拡大も検討していくという。

「MOCEAN」の利用イメージ
「MOCEAN」の利用イメージ

 また、今後は、ラウンジの居心地のよさとシェアオフィスの機能性を併せ持つ、CCCの「SHARE LOUNGE」(シェアラウンジ)ユーザーに向け、「モビリティ」×「シェアラウンジ」という新しいライフスタイルサービスの実現を共同で検討する。プライベートな移動空間となるIONIQ 5の、ラウンジのような利用を想定するという。

IONIQ 5の利用イメージ
IONIQ 5の利用イメージ

 加えて、両社が蓄積したデータを相互で活用。モビリティサービスの持続的な発展、活用した新事業企画の創出などを検討していくとしている。

 (2)ZEV拡大のためのデータマーケティング協業では、CCCのビッグデータをもとに、ZEV時代の新しいライフスタイルの提案に向け、データマーケティングに取り組む。ヒョンデが日本市場で注力するオンライン販売に、CCCのデータサイエンス力とライフスタイル企画力を積極的に活用。日本全国の蔦屋書店やTSUTAYAでZEVの新しい価値観を体感可能な、オンラインと融合したサービスの開発などを予定しているという。

 また、より高度かつ精緻に顧客データを管理し、ユーザーのニーズに沿ったCustomized CX Journeyを提供するとしている。

 (3)グローバルEV体験プラットフォーム開発およびその拡大では、ヒョンデのグローバルブランド拠点内でEV体験プラットフォームを開発し、グローバル展開を推進する。例えば、韓国や海外で展開中の「Hyundai Motorstudio」のようなブランド空間の中で、EVの世界観を体験できるコンテンツなどを両社で提案する。日本を中心とした東アジアやASEAN諸国に、より豊かな空間でのEV体験を展開していく予定だ。

EV体験プラットフォームを開発、グローバルで拡大する
EV体験プラットフォームを開発、グローバルで拡大する

モビリティ要素を取り入れたライフスタイルの提案へ

 環境課題のトピックの1つ「脱炭素社会」の実現に向けてEVなどの活用が期待されており、モビリティに変革のタイミングが訪れつつある。

 新しいライフスタイルの提案をミッションに掲げるCCCは2018年、世界中のEVメーカーなどを取材して専門雑誌を発行。調印式に合わせて送ったビデオレターでカルチュア・コンビニエンス・クラブ 代表取締役会長 兼 CEOを務める増田宗昭氏は、「これからはEVの時代になる、と直感的に思った。また、IONIQ 5が日本で発売された2022年5月には、原宿のショールームで実車を確認、その場でオーダーした」と振り返る。

 その後の7月の納車時には、日本の代表となるHyundai Mobility Japan 代表取締役社長の趙源祥(チョ・ウォンサン)氏、8月には張氏、9月にはHyundai Motor Group 会長の鄭義宣(チョン・ウィソン)氏が増田氏の自宅に訪れ、日本市場におけるEVの重要性などの話で盛り上がったという。

 増田氏は「世界第3位のヒョンデとともにデータマーケティングを活用し、新たな顧客接点の創造、新たなモビリティライフの提案などをしていきたい」とした。

 協業にいたった一番のポイントとして、Hyundai Motor Company 代表取締役社長 兼 CEOの張在勲氏は、「人が中心」という価値観が一致したことにあるという。

 さらに、カルチュア・コンビニエンス・クラブ 代表取締役社長 兼 COO 高(漢字ははしごだか)橋誉則氏は、「価値観への共感に加え、実際にIONIQ 5という空間を体験し、目指す世界観を体感したことも大きい」と語る。CCCのデータにモビリティの要素を取り入れた、新しいライフスタイルの提案という可能性に期待を寄せた。

1週間限定の「Hyundai Week」--日本未発売の「IONIQ 6」も

 また、ヒョンデは同日から6月30日、代官山T-SITEで1週間期間限定の「Hyundai Week」を開催する。

 IONIQ 5のほか、5月に発売したアップデートモデル「IONIQ 5 Lounge AWD Limited Edition」、日本で未発売の「IONIQ 6」などを展示している。

CCCの増田氏と高橋氏が絶賛したIONIQ 5
CCCの増田氏と高橋氏が絶賛したIONIQ 5
車室内の様子。助手席は倒した状態
車室内の様子。助手席は倒した状態
IONIQ 5 Lounge AWD Limited Edition
IONIQ 5 Lounge AWD Limited Edition
デジタルサイドミラーを採用
デジタルサイドミラーを採用
日本未発売の「IONIQ 6」
日本未発売の「IONIQ 6」

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