われわれは、カリフォルニア州コンプトンにある新しい垂直農法施設の見学ツアーに参加し、畑ではなくタワーで作物を栽培することの潜在的な利点、そして、それを実現するために必要な技術革新について学んだ。
この屋内施設は、主に葉物野菜の垂直農法を専門とする企業のPlentyが運営している。食料安全保障が気候変動や異常気象の脅威にさらされる中で、Plentyの社員たちは、従来の農法よりも狭い土地で行える有力な代替農法を開発したと自負している。
Plentyの農作物は、消費される場所の近くで栽培できるため、輸送にかかるエネルギーコストも下がる。さらに、同社の垂直農法の場合、ほかの農法では困難であろう時期でも作物を育てることができる。その一方で、屋内での栽培には、それならではの課題もいくつか存在する。
太陽光は無料だが、それと同等の栄養分を含んだ光源を屋内で再現するには、エネルギーが必要だ(作物が植えられたタワーを運ぶロボットも電力を食うことは、言うまでもない)。Plentyは送電網から電力を購入している。同社の最高科学責任者(CSO)で共同創設者でもあるNate Storey氏が筆者に語ってくれたところによると、同社は、風力や太陽光などの再生可能エネルギーがすぐに利用できる、または将来的に送電網の主要な電力源になる予定の地域を重点的に探しているという。Plentyは成長を続ける再生可能エネルギー分野の需要と供給の関係に新たな需要源をもたらすだろう、とStorey氏は述べている。
Plentyのコンプトン農場では、種まきから包装まで、農作物の生産にかかわるすべての工程が行われる。作物はロボットシステムとベルトコンベヤーであちらからこちらへと運ばれ、衛生基準に違反することのないよう、その様子は個人用保護具に身を包んだ作業員のチームによって監視されている。
栄養分を含んだ太陽光を再現するために、Plentyは独自の照明システムを備えている。安全性の観点から、同社の発光システムを直接撮影することは許されず、筆者は、スペクトルをゆがめるフィルター付きの窓を通して撮影しなければならなかった。
Storey氏は筆者に対し、「(光)スペクトルのあらゆる部分が作物の中で非常に明確な役割を果たし、光合成をかなり効率的に促進する。また、作物に対するプログラミング効果もあるので、スペクトルをどのように処理すべきかを作物に指示して、われわれの思う通りに成長させることができる」と語った。
収穫の際は、巨大な黄色のロボットアームが、葉物野菜の植えられたタワーをつかみ、一連の刃が付いた機械へと挿入する。タワーがその機械を通過するときに、新鮮な葉の部分が切り落とされるという仕組みだ。
Plentyの商品は、WalmartやBristol Farms、Whole Foodsといった提携企業の一部の店舗で購入できる。Storey氏によると、価格はほかのオーガニック野菜と同じくらいだという。同社の商品のラベルには、オーガニックではなく「無農薬」と表示されている。オーガニック認証では、一部の農薬の使用が認められているため、Plentyの関係者は自社の作物について、「オーガニックを超えた」ものであり、GMO(遺伝子組み換え作物)も使用していないと述べている。
Plentyが次に計画しているのは、垂直農法でイチゴとトマトを栽培することだ。ぜひ注目してもらいたい。
Plentyのコンプトン農場の内部の様子を知りたい人は、本記事に掲載した動画を参照してほしい。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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