生成系の人工知能(AI)、特に「ChatGPT」に対する主な懸念の1つが、ユーザーのAIモデルとのやり取りから生じるユーザーデータがどう扱われるのかという点だ。
米国時間3月20日には、他のユーザーが過去にChatGPTと交わした会話のタイトルが表示される不具合が発生していたことが判明し、この一件が、プライバシーとセキュリティへの懸念にさらに拍車をかけた。これもきっかけの1つとなって、イタリア当局はChatGPTそのものの一時的な禁止に踏み切った。
そこでOpenAIは4月25日、ChatGPTの機能変更を発表した。これはユーザーによる自身のデータとチャット履歴の管理機能を強化し、プライバシーへの懸念に対応するものだ。
ユーザーは今後、チャット履歴をオフにして、自分のデータがOpenAIのAIモデルのトレーニングや改善に利用されるのを防げるようになる。
ChatGPT users can now turn off chat history, allowing you to choose which conversations can be used to train our models: https://t.co/0Qi5xV7tLi
— OpenAI (@OpenAI) April 25, 2023
チャット履歴をオフにした場合のデメリットは、サイドバーでそれまでのチャットを確認できなくなり、過去の会話をのちに参照することができなくなる点だ。
新たな管理機能は25日に提供が開始され、ChatGPTの設定画面内に追加されている。
ただし、チャット履歴を無効にしていても、ChatGPTは30日分の新規会話を保存する。これは悪用を監視する必要がある場合のみ、調査のために用いられる。30日経つと、過去の会話は完全に削除される。
自分のChatGPTのデータをエクスポートすることも可能になった。これにより、実際にどのような情報がChatGPTに保存されているかをより的確に把握できるという。
さらにOpenAIは、新しいサブスクリプションサービス「ChatGPT Business」の立ち上げに取り組んでいることを明らかにした。これは機密データを保護するためにより高度な管理機能が必要な専門職や、エンドユーザーの管理が必要なエンタープライズ向けのサービスとなる。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」