鮮度を保持し3カ月のイチゴ保存も--ZEROCO、0度で均一にキープする第三の鮮度保持技術

 ZEROCOは4月12日、冷蔵庫・冷凍庫に次ぐ第三の鮮度保持技術「ZEROCO(ゼロコ)」の事業を始動すると発表した。

 ZEROCOは、温度約0度、湿度100%弱を安定的に保つことを可能にした世界初の鮮度保持技術。生鮮食品など、食材に含まれる水分をコントロールし、安定した状態にすることにより、高いクオリティーを保ったままで長期保存を可能にするのが特徴。

62日間保存した「いちご」。左がZEROCO、右が一般の冷蔵庫
62日間保存した「いちご」。左がZEROCO、右が一般の冷蔵庫

 一般的な凍結技術では、表面から先に凍っていくため、食材の表面と中心の温度で差が生じることで、冷凍に時間がかかってしまうという。その結果、冷凍していく過程で大きな氷結晶が発生し、食品が持つ細胞が破壊されてしまう。

 一方、ZEROCOは、食材の表面から中心の温度までを0度で均一にキープすることで、食品中に含まれる水分が水と氷の区別がなくなる状態(固液臨界状態)を作り出す。

 これにより、氷結晶の発生が抑制され、凍結スピードが速くなり、細胞破壊が起こりにくい状態になり、食品の持つ細胞を崩さずに、鮮度の高い状態で長期間保存が可能になるという。たイチゴで3カ月、桃で2カ月、とえば、イチゴで3カ月、桃で2カ月、メロンで3カ月、生花で4カ月の保存が可能。

 冷凍が不可能だといわれていた、寿司や天ぷら、オムレツケーキ(生クリーム)、牛乳などの食品についても、品質を保ったまま冷凍保存が可能となる。

温度の違い
温度の違い

 また、ZEROCOを予備冷却装置として使用した後においては、ドリップや冷凍焼け、着霜などの冷凍変性の問題が解決できるとしている。

 近年、食の分野に最新のテクノロジーを取り入れた「フードテック」への関心が高まっている。また、廃棄ロスを防ぐ管理技術や植物由来の代替肉など、新たな食の可能性やそれを支える技術が注目を集めている。

 フードテックが注目される理由のひとつとして、地球規模での人口増加が挙げられている。2021年時点で約79億人とされていた人口は、2050年に97億人に増加するとされており、これからの30年間は大幅な人口増加に伴う食糧問題、地球環境の悪化などの課題に直面するといわれている。

 日本では、人口が減少するとともに、食の未来を支える担い手の減少も予想されている。

 これらの社会課題を解決し、サスティナブルな世界を実現するための手段としてフードテックは重要な役割を担うとされている。しかし、現在のフードテックでは、食材本来のおいしさを保つ技術はまだ発展途上で、農業や漁業などの食産業に関わる生産者のサポートまでは追いついていないのが現状だという。

 同社によると、ZEROCOは日本の伝統的で最もシンプルで自然な保管方法である雪下野菜の「低温&高湿」に着目した、第三の鮮度保持技術になるとしている。

 鮮度を長期間・高品質に保つことで、食材本来のおいしさを生活者に届けるとともに、生産者の出荷に関わる業務負担を減らし、食材の寿命をフレッシュなままのばすことでフードロス削減への貢献を目指す。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画広告

企画広告一覧

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]