米国時間4月10日深夜に予定されているSpaceXのロケットの打ち上げによって、スペインの新興企業Sateliotは、従来のモバイルネットワークが届かない世界中の辺境地でテキストメッセージを利用できるようにするための最初の一歩を踏み出そうとしている。
バルセロナを拠点とするこの新興企業は、地球低軌道にある衛星を利用して、あらゆる場所での接続の実現を目指す企業のうちの1社だ。こうした企業は増加しており、Apple、Verizon、T-Mobile、Qualcommといった各社も同じ方向を目指していることから、近い将来、立ち往生した車両のドライバーやケガを負ったハイカーが孤立せずに済む可能性が高まるとみられる。
Sateliotは、同社事業の第1フェーズの稼働に必要な5基の衛星を2023年中に軌道に打ち上げる予定で、カリフォルニア州のバンデンバーグ宇宙軍基地から今回打ち上げられるのは、そのうちの最初の衛星だ。2024年には64基、2025年には256基を軌道に配備することを計画している。それだけの衛星を配備すれば、十分にテキストメッセージ通信が実現できるという。
「われわれは、モバイル事業者向けに宇宙の基地局を構築する」と、Sateliotの最高経営責任者(CEO)Jaume Sanpera氏は独占インタビューで述べた。「これらの小型衛星(ナノ衛星)により、3年以内にすべての場所を網羅するほぼリアルタイムのカバレッジが実現できる」
同社の長期的な計画は、消費者を支援することだが、最初に目指すのはその領域ではない。同社は、2023年に配備される5基の衛星からなるコンステレーションによって、物流や海運業界などの企業に接続を提供することを計画していると、Sanpera氏は述べた。同社は、そのようなサービスを実現するために、総額およそ11億ドル(約1500億円)相当の契約を3件締結している。
各衛星は地上を周回しながら、テキサス州の約3倍の面積の地上エリアと通信できる。Sateliotは、最初の小さなコンステレーションによって、1日1回の衛星通信を保証できる。地上のデバイスは、衛星がいつ上空に来るかを把握しているので、通信時に起動し、それ以外の時間は低消費電力状態で休止する。それによってバッテリーを数年間持続させることが可能だ。
一部の通信衛星は非常に大きい。例えば、SpaceXが2023年第2四半期に打ち上げを予定しているHughesの通信衛星は、バス車両ほどの大きさがある。しかし、Sateliotの最初のモデルはそれよりもはるかに小さく、約10cm×20cm×30cmという大きなシリアルの箱ほどのサイズで、6U(6ユニット)CubeSatと呼ばれるものだ。2024年の衛星は厚さが2倍になり、12Uのデザインになる予定だ。
しかし、電子部品の微細化のおかげで、これらの小型システムは高性能化している。かつては政治大国の間で繰り広げられていた宇宙開発競争が、今やハイテク企業間で進行しているのはそのためだ。
「人々はどこでもメッセージ通信ができることを望んでいる」と、Sanpera氏は述べた。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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