ではなぜ、Galaxyは突然、Samsungブランドを推すようになったのか。
関係者は「環境を意識したものづくりをしないとZ世代に選んでもらえない時代になった。環境問題に真剣に取り組んでいるというアピールは企業のブランドでないとできない。そのため、日本でもSamsungブランドに戻した」と語るのだ。
最近、どのメーカーも、新製品発表時に「いかに環境に配慮してきたか」をアピールするようになった。
Galaxy S23 Ultraの発表会でも、海に廃棄された漁網を回収し、再生したプラスティックを部品パーツに使用していると明らかにされ、「2023年末までに世界の海に眠る15トン以上の廃棄漁網を削減」というアナウンスがあった。
実際、Galaxy S23 Ultraでは、前面と背面のガラスは再生ガラスを採用。音量ボタンやスピーカーモジュールにはリサイクルプラスチックが使われている。梱包箱は100%再生紙使用パッケージとなり、ディスプレイ保護シートもプラスティックから再生紙に切り替わっているのだ。
新製品発表会における環境への取り組みアピールは、何年も前からアップルが得意としてきたプレゼン手法だ。新製品発表会でいくつかの製品が紹介されるのだが、必ず、それぞれの製品の最後で、どれくらい再生素材を使ってきたかなどが語られるのであった。記者からすると「環境の話をしたと言うことは次の製品の発表に移るな」という合図に感じられるのだが、Z世代からすると、この環境アピールこそが製品選びの参考材料になるというわけだ。
最近ではサムスン電子だけでなく、中国メーカーのXiaomiですら、新製品発表時に環境アピールをするようになった。
特にXiaomiは若者から売れてきたブランドでもあるだけに、中国企業であっても環境アピールは避けては通れない時代になったのだろう。
製品単体ではなく、「企業として継続的に環境問題に取り組んでいる」と訴求するにはGalaxyという製品ブランドではなく、Samsungという企業ブランドでないと通じないのだ。
ここ数年、スマートフォンはスペック的に行き着くところまで到達した感があり、メーカーとしてなかなか性能で差別化できない領域に突入した。
ただ、最近はChatGPTが流行っていることもあり、「AIでとても便利なスマートフォン」という競争軸になっていく可能性が高い。
しかし、一方で、Z世代の気持ちを捉えるには「環境への配慮」が重要なアピールにもつながっていく。
今後、スマートフォンメーカーは「いかに地球のことを考えてものづくりをしている企業か」をプレゼンしあうようになっていくことだろう。
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