ギブリーは4月4日、企業が安心してChatGPTを利用できるとうたう「法人GPT」の提供を開始した。API経由でChatGPTのサービスを提供することで、チャットに入力したデータがAIの学習に利用される心配もないとしている。
ChatGPTの登場以降、大規模言語モデルの生産性向上への有用性が明らかになっている。一方で、企業が積極的にChatGPTを自社の業務に利用しづらい状況がある。
ギブリーの独自の調査結果によると、約10%の会社が業務でChatGPTの利用を禁止している。また、禁止されていない企業では、社員が個人でChatGPTを契約し、こっそり業務の効率化に役立てている例もあるという。
その背景について「チャットに入力したデータがChatGPTの学習に活かされてしまうという企業側の懸念がある」とギブリーで取締役 オペレーションDX部門長を務める山川雄志氏は説明する。
通常のChatGPTでは、入力したデータがAIの学習に利用されており、企業の機密情報漏洩に繋がる恐れがある。そこで、法人GTPでは、OpenAIの規約上、学習に利用されないことになっているAPIを経由して、ChatGPTのサービスを提供している。
法人GPTでは「文章の要約」「添削」「FAQの自動生成」といった一般的なChatGPTの機能のほかに、自社専用のChatGPT環境を構築できる点が特徴だという。
具体的には、12業種のさまざまな業務効率化に役立つ111種類のプロンプト(ChatGPTに指示を出すためのテキスト)を用意している。左側のメニューには「経営・事業企画」「営業」「情報システム」「総務」などの職種別のメニューが用意され、業務内容に応じたプロンプトにアクセスできる。
また、企業独自のプロンプトを登録することも可能。「優秀な営業マンのトークスクリプトをプロンプト化して、新人教育に役立てるなど、会社のさまざまなナレッジをGPTで均質化して、従業員が使いやすいモデルを提供できる」と山川氏は語る。
法人GPTは法人向けのサービスとなり、基本料金は1ユーザーあたり税込980円。これとは別に、使用トークンに応じた従量課金が発生する。
現状、すでにGPT-4をベースとしているが、「GPT-5」(仮称)のような最新バージョンが登場した場合には、すぐに最新バージョンを利用できるような環境を整える。また、セキュリティに関してもさらなる改善を図る取り組みを実施しているという。
ギブリーは法人GPTについて、年間1000社の導入を目指すという。また、今後は、不動産や病院といった、特定の業界に特化した「○○GPT」を開発するという。さらに、ChatGPTを使いこなせる人材を育てるために、プロンプトエンジニアリングのセミナーを開催するとした。
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