電脳交通は4月4日、新規、既存投資家を引受先とした総額約12億円の資金調達を実施したと発表した。累計資金調達額は約27億円となる。
今回の資金調達では、既存投資家の三菱商事、第一交通産業、エムケイ、阿波銀行、徳島大正銀行、いよぎんキャピタルのほか、新規投資のJPインベストメント、ENEOSイノベーションパートナーズ、四国旅客鉄道、沖東交通グループ、三和交通が引受先となる。
同社によると、タクシー業界は以前から、IT化の遅れやドライバーの高齢化といった課題に直面。加えて、コロナ禍の影響による売り上げの大幅な低下、廃業も相次いでいる。感染状況が収束、観光や移動ニーズが戻ってきているが、業界全体が深刻な人手不足という課題に直面しているという。
電脳交通は、2015年12月に創業。クラウド型タクシー配車システム「DS」を開発、提供するほか、配車業務の委託サービス「Taxi CC」など、業界の人材不足解消と業務負担軽減につながるサービスを提供している。
導入車両数は毎年約200%のペースで拡大しており、2023年3月時点で全国45都道府県の事業者が導入。現在は、自治体向けにデマンド交通サービスの運行管理が可能なソリューションを全国30カ所以上へ提供するとともに、第一交通産業グループと共同でタクシーのEV化を促進するためのプロジェクトを実施しているという。
調達した資金は、サプライ領域におけるタクシーDXを実現するためのプロダクト強化、既存事業のさらなる伸長を見据えた組織基盤の強化、将来的なIPOを視野に入れた体制構築に向けた採用強化に活用する。各株主と資本業務提携を締結して資金面だけでなくデマンド交通サービスや脱炭素関連のプロジェクトを共同で展開し、業界の活性化や地域交通に必要とされるサービスの早期実現に取り組んでいくという。
今後は、地域交通の課題解決に向けたタクシーのDXを加速させ、事業基盤を生かしたデマンド交通や脱炭素などの新たな取り組みに着手する。日本の地域社会が抱える移動、交通の課題解決を目指す。
なお、組織体制の強化と事業成長に向けた取り組みの一環として、三菱商事の莊司茂雄氏が社外取締役として参画する。加えて、JPインベストメントの瀬尾萌氏も参画予定としている。
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