いずれは、このような生成系AIツールがRobloxのゲーム内にも入り込んでくるだろう。今後は、そのような可能性に伴って、保護者による指導という問題も出てくる。
「今後、生成系AIが、プレーヤーを超えて強大な力を持つようになると、今以上にリアルタイムのモデレーションを実装しなければならないだろう。年齢だけでなく、状況に応じた配慮も必要になる。親しい友人グループの中なら問題ない発言でも、公共の場、例えばRoblox上で開かれるコンサートなどには不適切ということもある。今後は、この点が重要になると考えているので、より状況に応じたモデレーションを開発しようとしている」(Corazza氏)
今のところは、コーディングと創作に焦点が当たっているが、筆者がその先に見ているのは、こうした手軽なAIアシスタントが、メタバースのための環境をその場で生成できるようになることだ。「Altspace VR」やMetaの「Horizon Worlds」といった大規模なソーシャル仮想現実(VR)の世界は、「環境を作れば人はやって来る」という発想で作られているが、これまであまり成功していない。AIを駆使して、今以上に即座に呼び出せるようになれば、これからのARやVRは、即席のホロデッキ(編集部注:米テレビドラマ「スタートレック」に登場する、仮想空間を作り出す技術)のような感じになるのだろうか。
Corazza氏はさらにこう話す。「これまで進んできたのは、厳密に技術的なスキルの多くをAIが習得し、その分でクリエーターは高次のコントロールが可能になるという変革だ。今後は、より多くの人がメタバースでアイデアを形にできるようにしていく」
Corazza氏は、その例としてRoblox独自のメタバースと、その数千万に及ぶユーザーを引き合いに出している。「これまでは、必要とされるコンテンツの規模が満たされていなかった」と、同氏はメタバースの各プラットフォームを分析する。「実際にその規模を達成できる企業は、世界にほとんどなかった。その障壁を下げれば、今では誰でも簡単に街を生成できるようになる。『サンフランシスコの街を作って。夕方にして、雨を降らせて』と言うだけで、たちまち目の前にサンフランシスコが出現する。制作のコストが低くなれば、面白いことをすぐに始められるし、いろいろなことを試せる」
Robloxでは、まだそれほどVRとARが進んでいるわけではないが、Corazza氏によると、さまざまなプラットフォームを模索しているところだという。しかし、3D世界における生成系AIに向けたこの最初の歩みがメタバースに、そしてVRとARにも遠からず大きな影響を及ぼすことは間違いない。
「VRは、いつもコンテンツ不足に悩まされてきた。素晴らしいゲームが完成したところで、『はい、後はうまく使ってくれ。がんばって』というようなものだ。とても難しいプロセスだった。最初の転機は、ユーザーがコンテンツを作るようになったことで、これはかなり影響力があった。次の転機は、今の生成系AIでできることを見て分かるように、公開されるコンテンツの数がまた爆発的に増えるだろう」。Corazza氏はこう付け加えている。「VRとARなども繁栄して、第2の波がやってくるだろう。そういう世界でいろいろなことができるようになったし、しかもずっと高速になったからだ。大きなゲームチェンジャーになるはずだ」
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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