シャープ 代表取締役社長兼CEOの呉柏勲(Robert Wu)氏は3月15日に、シャープ労働組合に対して春季労使交渉の回答を行ったのを受けて、同日夜、社員向けメッセージを、同社イントラネットを通じて配信した。
電機大手では、賃金全体を底上げするベア(ベースアップ)において、満額回答が相次いでおり、2022年度に赤字が見込まれるシャープでも、シャープ労働組合要求のプラス7000円を満たす回答をしている。また、初任給については、シャープ労働組合の要求額以上に引き上げており、大学院(Master)卒は、27万円(引き上げ額は1万3000円)、大卒は24万1500円(同1万円)、高卒は17万8000円(同5000円)としている。
メッセージでは、春季労使交渉の回答の考え方について説明すると述べ、就任以来掲げてきた「HITOを活かす経営」について説明した。
呉社長兼CEOは、「HITOを活かす経営に向けて、等級体系の見直しや社内公募制度の導入、研修プログラムの拡充など、さまざまな施策を通じて『若くて活気溢れる企業風土の醸成』に取り組むことで、持続的成長に向けた経営基盤の構築を進めてきた」と前置きし、「シャープを取り巻く足元の事業環境は非常に厳しく、2022年度の業績は赤字となる見通しであり、2023年度も、厳しさがより一層増すことが予想される。しかし、私は、こうした時においても『HITOを活かす経営』の方針を堅持し、従業員が安心して業務に励むことができる環境を作り、優秀な人材がシャープで働きたい、働き続けたいと思える環境を構築していくこと大切であり、この難局を乗り越える上で、極めて重要であると考えている」と語った。
その上で、「2022年度は、信賞必罰の方針に沿って、毎年、業績に応じた賃上げを実施するという基本的な考え方は維持しつつも、昨今の急激な物価上昇による生活への影響などを考慮し、例年以上の昇給を行うことにした。特に、若手社員などの月給水準が相対的に低く、物価上昇の影響を受けやすい層に対しては、重点的に原資を配分し、20~30代前半の若手社員では、おおむね10%前後の昇給を実施する。また、2023年度の初任給についても、業界最高水準への引き上げを行う」とした。
そして、「経営陣は、いかなるときであっても『HITOを活かす経営』を貫き、従業員が事業拡大に向けて思う存分に力を発揮してもらいたいと考えている。こうした思いを反映した今回の会社回答は、労働組合からも満額回答として高く評価されている」と述べた。
メッセージの最後に、呉社長兼CEOは、「2023年度に、私たちが、まず、なすべきことは、年間最終黒字の達成と、将来に向けた新規事業の早期立ち上げである。従業員一人ひとりが、経営陣の思いを理解し、今後も業務に邁進してもらえることを期待している」と述べた。
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