TOTOは、独フランクフルトで3月13日に開幕した住設機器の国際見本市「International Sanitary and Heating 2023(ISH2023)」のTOTOブースを紹介するとともに、欧州におけるポジショニングや販売状況について説明した。
ISHは世界最大規模のバス、トイレ、ビルディング、冷暖房、空調、再生エネルギーの国際見本市。隔年で開催しておりTOTOの出展は2009年の初出展から今回で8回目。2023年は4年ぶりのリアル開催となった。会場内の玄関口に位置する単独会場「Forum0(フォーラムゼロ)」にブースを設けており、欧州のトップブランド以外でForum0に出展するのはTOTOが初になるという。
約1500平方メートルのブース内は、便器の「ネオレスト」シリーズを展示する「ネオレスト グローバルラインアップ」と「ネオレスト NX コレクションズ」を中央に設け、その展示を囲うように参考出品の「ネオレストWX」をはじめ、欧州で主流の壁掛け式のウォシュレット一体形便器などを展示した「レストルームコーナー」、世界の多くの5つ星ホテルに納入されているパブリックトイレの空間をイメージした「パブリック・レストルーム/空間展示」、ハンドシャワーやオーバーヘッドなど、数多くの種類を備えた「シャワー・洗面器・洗面水栓」コーナーを配置した。
少ない水量で効率よく便器内を洗浄できる「トルネード洗浄」や海外では「ewater+(イーウォータープラス)」として知られる「きれい除菌水」など、独自の技術を訴求するコーナーも設けた。
「4年ぶりのリアル開催ということで、お客様のたくさんの笑顔が見られた。ブース内もぎゅうぎゅうづめだった」と、TOTO ヨーロッパ 社長の原野宏基氏は、ISH2023初日の様子を振り返る。
25年もの海外勤務経験を持つ原野氏だが、欧州市場は老舗ブランドが多く、その中でTOTOブランドを普及させていくのは難しい部分もあるとのこと。「TOTOは創業107年になるが、欧州では約200年の歴史を持つ老舗ブランドが多い。その中で、TOTOを普及させるために取り組んでいるのが『マイスター』との関係づくり。水道工事店のトップ層であるプロ中のプロの技能集団であるマイスターにウォシュレットの良さをわかってもらい、ファンになってもらって、伝導している。これが一番効果があると実感している」と戦略を明かす。
欧州市場ではデザイン性が求められることも多く、ウォシュレットであっても給水管や電源配線を全く見せない形が望ましいとのこと。設置形状も壁掛け式と呼ばれるもので、便器が宙に浮くことで、掃除のしやすさなどにもつながる。
「欧州のトイレは掃除のしやすさがポイントの一つ。給水管や電源配線は壁の中に埋め込むことによってスッキリ見せている。欧州で求められる美意識にきちんと対応していくのがビジネスの鍵」(原野氏)と欧州のユーザーに寄り添う。
一方で、ウォシュレットやきれい除菌水など、TOTOが持つ高付加価値についてはセミナーを実施し、アピールしているとのこと。「製品の品ぞろえなどの話しではなく、日本人が持っている倫理観や美意識といった部分からしっかり伝えることによって広めようとしている。1泊2日など、十分な時間を取りながら伝えている」(原野氏)とじっくりと説く。
「欧州の老舗ブランドはこちらのお客様に長く愛されており、関係性も強い。TOTOではマイスターとの関係づくりをしながら市場に踏み込んでいるが、その関係づくりも、マイスターの自宅でTOTOを1年2年と使ってもらいながら、その良さを実感してもらっている。そうした流れの中で大きなうねりにしていきたい。水回りブランドは数多くあるが、米国と欧州の2つで成功しているブランドはない。TOTOはこの2つ市場で成功する一番手になりたいと思っている。強い気持ちを持って欧州でがんばっていきたい」(原野氏)と長い目で見据える。
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