Twitterは、Elon Musk氏が2022年に最高経営責任者(CEO)に就任して以来、大規模な人員削減が実施され、認証バッジの有料化が議論を巻き起こし、複数の技術的障害に見舞われ、広告売上高が激減するなど、波乱に満ちた経緯をたどっている。ユーザーはデータ流出や、Musk氏のオンラインでの不快な口論を経験した。
その結果、数百万人規模のユーザーがTwitterを離れ、かつてはデジタル広場として支持された同サービスの代わりを探しているユーザーもいる。そこで競合他社は、独自のデジタル広場を構築して、Twitterの混乱に乗じて利益を得ようとしている。
オンラインニュースサイトMoneycontrolが最初に報じたように、「Facebook」「Instagram」「WhatsApp」という人気のSNSを運営するMetaはTwitterに代わるアプリを構築中だ。
技術系ニュースレターのPlatformerが受け取ったMetaからの電子メールによると、Metaは、「テキストで最新情報を共有するためのスタンドアロンの分散型ソーシャルネットワークを検討している」という。同社は、この声明を複数の報道機関に提供している。
Metaは、クリエイターや著名人が興味・関心をタイムリーに共有できる独立した空間に機会があると述べている。確かにその機会があるからこそ、17年前にTwitterが実現された。
Twitterのような新しいアプリに商機が生まれたのは、アイデアが斬新で革新的なものだからではなく、Twitterの不適切な運営や人気の低下、売り上げの減少によって競合製品が生まれる余地が生じたからだ。
Metaの新プロジェクトに詳しい情報筋によると、この冒険的な取り組みはまだ開発の初期段階にあるというが、Moneycontrolによれば、プロジェクトは「P92」と名付けられ、ユーザーはInstagramアカウントの認証情報を利用してアプリにログインできるようだ。
Metaは「Mastodon」のような分散型ソーシャルメディアプラットフォームの開発を計画しているという。分散型ソーシャルネットワークは、管理者が複数いるという点で一元管理型ネットワークと異なり、ひとりがネットワークを運営することはない。
Metaはこれまで、自社のソーシャルメディアアプリに分散型ネットワークを取り入れることを公に支持したことがない。それどころか、同社のサービスは、ユーザーをターゲットにしたマーケティングや広告キャンペーンによる利益を最大化するため、ウォールドガーデンに大きく依存している。
だが、ウォールドガーデンによるビジネスモデルには、反トラスト法に照らして合法性に疑問の生じる面があるため、議員たちから注がれる視線はますます厳しいものになりつつある。とはいえ、Twitterに代わる分散型アプリの開発は、困難であることが明らかだ。
2022年11月、MastodonはTwitterから乗り換えたと見られるユーザーの流入を受けて月間アクティブユーザー数が200万人を突破したが、これらのユーザーを維持することはできなかった。Mastodonはその人気の絶頂期に、Musk氏にとって大きな脅威となり、同氏は一時的にMastodonへのリンクをTwitterで共有することを禁止したほどだ。
しかし、Twitterはカルト的な人気を誇り、業界内での知名度も高いため、ここ半年ほどの間に数々の重大な問題に直面したにもかかわらず、ユーザーはTwitterから離れていない。
Mastodonの創設者Eugen Rochko氏は2022年末、同プラットフォームの非営利性を維持するために、シリコンバレーからの複数の出資の申し出を断っていたことを明らかにした。一方でMetaは営利企業であり、その立場を生かして分散型プラットフォームの開発に資金やリソースを注ぎ込める。
だが、分散型プラットフォームは、Web2.0のSNSプラットフォームによく見られる広告戦術を採らず、Mastodonも広告を一切配信していない。Metaの分散型プラットフォームがどのように利益を上げる計画なのかは不明だ。
次のウェブインフラ技術であるWeb3.0(Web3)は現在、ブロックチェーン技術を利用して、オンライン上のネットワークに参加するユーザーに報酬を支払うことを推進している段階だ。これは複雑な技術で、まだ広く普及していない。
しかし、問題のある広告手法や、時には略奪的なアルゴリズムをめぐって繰り返し猛烈な批判を浴びてきた企業が分散型プラットフォームに軸足を移すのは、興味深いことかもしれない。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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