人工知能(AI)と、AIがもたらす高度な自動化および分析機能は、企業が慢性的な人材不足を補うのに最適なツールとなっている。しかし問題は、人材不足の解消に欠かせないAIやオートメーション技術を見極め、構築し、展開するのに必要なスキルを持った人材の確保に、企業が苦慮していることだ。
AIは、人材を確保し、定着させるツールとして力を発揮する可能性を秘めている。例えば、Legion Technologiesで製品およびエンジニアリング担当シニアバイスプレジデントを務めるKshitij Dayal氏は、AIの活用で得られる能力として、AIによる従業員管理と需要予測や、従業員管理の改善による迅速なスケジュール調整を挙げている。また、さらに重要な点として、従業員の要望やニーズをより正確に把握し、ポジティブな職場環境を作り出せることを指摘した。AIで業務を自動化し、人間の仕事を補助すれば、職場全体の生産性が高まる。深刻な人材不足により適切に対処しながら、従業員や管理職がより高度な業務に集中できるようになる。
いいことづくめだ。しかし、AIがもたらす能力を使いこなすにはスキルが必要であり、この点が最大の課題の1つとなっている。Rackspace TechnologyがIT業界のリーダー1420人を対象に実施した最新調査も、そのような状況を裏付けている。多くの場合、AIや機械学習(ML)はかつて人間が行っていた仕事を肩代わりしており、調査回答者の62%が、AIやMLの導入が従業員の削減につながったと述べている。さらに、69%の回答者が、新しい人材を雇用し発掘する能力の向上にAIが役立っていると答えている。
ここで大きな障害となるのは、AIやMLを扱う能力がさらに必要なことと、データを効果的に管理できる人材が欠かせないことだと、調査の回答者らは述べている。
所属組織におけるAI/MLの取り組みで直面した問題として、最も多いのはスキルを持った人材の不足(67%)で、アルゴリズムやモデルのエラー(61%)、AIやMLをサポートする技術インフラの欠如(54%)がこれに続いた。
こうした問題に対処するため、82%の回答者が、過去1年間にAIやMLのスキルを持つ人材の採用に取り組んできたと述べている。また、86%の回答者が、過去1年間にAIやMLに携わる従業員を増やしたと答えていた。
所属組織によるAI/MLの導入における課題は、導入コスト(57%)、社内のスキル不足/必要な人材を採用する難しさ(51%)、技術インフラの課題(49%)だった。
この調査では、ほかにも注目すべき結果が見られた。それは、AIが生成したデータに対する信頼度と、この信頼性を確保するために講じている措置への満足度が高いことだ。データに対する懸念や社内の抵抗がありながらも、AIプロジェクトの生成結果に対するIT意思決定者の信頼度は依然として高く、73%の回答者がAIの提供した回答を信頼していると述べていた。また、72%の回答者が、AIの利用によって生じる悪影響を避けるためのチェックや調整は十分に機能していると答え、80%の回答者が、AIやMLが生成した回答に人間の解釈を加える必要はないとの考えを示した。
回答者の4分の3近く(73%)が、AIや機械学習技術による分析を常に信頼していると述べていた。AIが公正でバイアスを持たないようにするためのプロセスを整備しているという。72%は、そのために十分なチェックと調整を行い、AIの利用によって生じる悪影響を避けていると回答した。また、77%の回答者が、AIと機械学習の決定は社内の「適切な人材」によって行われているとしており、71%が、AIの誤用を防ぐために十分なガバナンスが実施されていると答えている。
回答者の企業内で過去2年間に使われた技術には、仮想クラウドネットワーク(57%)、IoT(51%)、AI/ML(46%)、ブロックチェーン(36%)、ロボット工学(34%)、5G(31%)などがある。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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