IT調査会社IDCの予測では、下取りプログラムの成功によって、中古・整備済スマートフォンの出荷台数が2022年の2億8260万台から、2026年には4億1330万台に増加するという。
中古スマートフォンの出荷台数は2021年から2026年にかけて年平均成長率(CAGR)10.3%で拡大し、市場規模は999億ドル(約13兆円)に達するとIDCは見る。2022年の中古スマートフォンの出荷台数は2億8260万台だった。これは2021年の2億5340万台より11.5%多い。
一方、新品スマートフォンの出荷台数は、新型コロナウイルス感染症の世界的流行が始まって以来、低水準で推移している。サプライチェーンの混乱や景気後退を見越した消費の抑制が需要を押し下げていることに加えて、パンデミックの前から消費者は同じスマートフォンを2年以上使い続ける傾向があった。
中古スマートフォンは、出荷台数では新品スマートフォンに及ばないものの、出荷台数の伸びは今後数年間にわたり、新品スマートフォンを上回る見込みだ。新品スマートフォンの出荷台数は、2023年から2026年にかけてCAGR0.5%のペースで増加し、2023年の出荷台数は12億7000万台に達するとみられている。2022年の実績は12億4000万台、2026年の予測は13億9300万台だ。
IDCは、中古・整備済スマートフォンの市場が拡大している背景には、ほぼすべての主要スマートフォンベンダーが提供している下取りプログラムの成功があるとみている。中古市場は、新品スマートフォンの出荷動向や新機種への買い替え需要と連動しており、新機種の発売時の下取り価格からも影響を受ける。
「2021年に新品市場が持ち直し、6.1%のプラス成長となったおかげで、2022年の中古市場は11.5%の成長を実現できた」と、IDCのWorldwide Quarterly Mobile Phone Trackerのリサーチマネージャー、Anthony Scarsella氏は言う。
IDCが指摘するように、北米市場や西欧市場では、下取りプログラムがスマートフォンの買い替えサイクルの短縮に寄与している。IDCは下取り価格が上昇したと述べているが、これは最新デバイスへの需要が低迷しているときに起きる典型的な現象だ。古い端末の価値が高まったことで、中古市場の相場は上がった。
現在では、代表的なスマートフォンブランドは軒並み下取りプログラムを展開している。例えばAppleは2013年に古いiPhoneを下取りする「Apple Trade In」プログラムを開始した。
「これはスマートフォン市場が成熟した証だ。中古市場の5年間のCAGRは、新品市場を上回る10%だ。特に有利なのは中古のハイエンド機種である。つまり、(世界的に見て)最大の恩恵を受けるのはAppleだ」と、IDCのMobile Device Tracker担当バイスプレジデントRyan Reith氏はツイートした。
CCS Insightの過去の調査が明らかにしたように、中古市場の8割はiPhoneが占める。この結果、以前ならAndroid端末を選んでいたような消費者が、Appleのエコシステムに手頃な価格でアクセスできるようになった。
特売品狙いの人々には残念なことだが、中古需要の拡大と、下取り価格を引き上げることで最新機種の販売を促進しようとする企業努力により、中古端末の価格は上昇傾向にある。
「中古需要は各地で高まっているため、新品よりも中古のスマートフォンの方が市場の阻害要因に強い。依然として中古端末の最大の長所はコストを抑えられる点にあるので、中古市場がさらに成長するためには、魅力的な価格を維持することが不可欠だ。しかし、新品市場の買い替えサイクルが長期化していることから、ハイエンド機種の在庫が積み上がり、中古端末の価格は2022年に11%以上上昇した」とScarsella氏は指摘した。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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