Appleが、欧州連合(EU)の新しい競争法に準拠するために、同社以外のアプリストアが「iPhone」と「iPad」にアクセスすることを容認する準備を進めているという。Bloombergが米国時間12月13日、事情に詳しい情報筋らの話として報じた。
Bloombergの記事によると、この変更に伴い、Appleユーザーは、同社の「App Store」を経由せずにサードパーティーのアプリをインストールできるようになり、同社のアプリに対する制約や、App Store決済に課される最大30%の手数料を回避することが可能になるという。
同社が長い間維持してきた方針の転換となる今回の動きは、デジタル市場で公平かつ開かれた競争を生み出すことを目的とした抜本的な新しいインターネット規則である、EUのデジタル市場法(DMA)に対応するもの。この新たな規則では、従わない大規模IT企業に対して、全世界売上高の最大10%に当たる金額が制裁金として科される恐れがあるため、その額は数十億ドル規模に達する可能性もある。
Googleやサムスンなど、独自のアプリストアを運営するスマートフォンメーカーは他にも存在するが、それらの企業は、サイドローディングを許容しており、端末の主要アプリストア以外でアプリを検索・ダウンロードできる。一方、Appleは、サイドローディングはセキュリティを損なう恐れがあるとして、iPhoneやiPadのアプリを同社のApp Storeからしかダウンロードできないようにしている。
同社の厳格な管理体制は、法廷での争いに発展しており、「Fortnite」開発元のEpic Gamesは、Appleがユーザーの端末を支配しすぎていると訴えている。Epicは、Appleを相手取った訴訟でほぼ敗訴したが、判決を不服として控訴している。
しかし、Bloombergによると、Appleは、サブスクリプションやアプリ内コンテンツを購入するためのサードパーティー決済システムを、開発者がアプリ内にインストールすることを許可するという、新法の一部分に準拠するかどうかについて最終的な結論には至っていないという。それを許可すれば、決済処理から徴収する手数料が減ることになる。
2023年にリリースされる「iOS 17」で導入される見込みの今回の変更は、欧州を主な対象としているが、他の地域に拡大する土台となる可能性があると、Bloombergの情報筋らは語っている。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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