サッカーW杯でテレビの売上げが増加--BCN調べ、大画面化も推進

 カタールで開催中のサッカーワールドカップの影響により、日本国内でのテレビの販売が増加していることがわかった。BCNの調べによると、前回のロシア大会に比べて、販売金額は36.0%増と大幅に伸長。販売台数でも11.5%増となっている。BCN総研 チーフエグゼクティブアナリストの道越一郎氏は、「ドイツやスペインを破った日本代表の活躍が、テレビの売上げに大きく貢献した」と分析した。

薄型テレビ(液晶+有機EL)販売台数、金額指数
薄型テレビ(液晶+有機EL)販売台数、金額指数
BCN総研 チーフエグゼクティブアナリストの道越一郎氏
BCN総研 チーフエグゼクティブアナリストの道越一郎氏

 大手家電量販店など、全国約2300店舗のPOSデータを集計している「BCN ランキング」をもとに分析したもので、PCやデジタル家電など約150品目が対象となっている。

 調査では、過去3大会(2010年の南アフリカ大会、2014年のブラジル大会、2018年のロシア大会)と比較。それぞれの大会開催から3週間の販売状況を比較している。カタール大会での3週目は、日本代表が決勝トーナメント進出を決定した時期となる。

 「南ア大会の2010年は、地デジへの移行時期とも重なっており、それを超える状況にはなっていないが、ブラジル大会、ロシア大会を上回る実績となっている。カタール大会では、日本代表の活躍とともに、週を追うごとに販売台数が増加している。また、販売金額が大きく伸長している背景には、有機ELテレビの販売増加や、大画面化といった動きも影響している」と述べた。

 とくに、ネット対応テレビでは、ロシア大会に比べて、販売金額で42.5%増、販売台数で39.4%増となり、さらに伸びが大きい。W杯全試合を無料放送したABEMAでの視聴や、今後のネット配信での視聴を視野に入れた購入が影響したといえそうだ。

 なお、過去3大会は、6月に開催しており、時期が異なることが販売状況にも影響していることを指摘する。「今回の11月開催という時期は、年末商戦の需要期に近く、販売が伸びる傾向があることも考慮しておかなくてはならない」としている。
 
 W杯で販売が増加したテレビだが、薄型テレビ全体としては、前年割れの状況が続いている。

 2022年11月の実績は、販売金額が前年同月比3.5%減、販売台数は前年同月比5.1%減となっている。前年同期の巣ごもり需要の反動があったのが理由だ。しかし、2022年10月までは、販売金額、台数ともに、前年同月比2桁減となっていたことに比べると、1桁台の落ち込みに留まっており、W杯の影響で減少幅が縮小したともいえる。

 また、大画面化は着実に進展しており、11月は、50型以上の構成比が41.2%と、4カ月ぶりに4割台を回復。平均画面サイズは44.9型となり、過去最大を更新した。また、有機ELテレビは12.0%と1割強を占めている。

 液晶テレビのメーカー別シェアでは、7月以降、TVS REGZAが、5カ月連続でトップシェアを維持。11月のシェアは26.8%となり、2位のシャープの19.7%と差を広げている。「シャープは、台数よりも金額を重視する動きになっている。トップシェアの常連という状況からは変化している」と分析した。

レコーダーは2桁割れの状況、見逃し配信増などで存在意義薄れる

 一方で、レコーダーは、地上波テレビの見逃し配信などの充実により、販売台数は前年比で2桁割れの状況が続いており、11月は販売金額で前年同月比14.6%減、販売台数で11.8%減となった。

 「ネット配信の普及により、レコーダーの存在意義が薄れてきている。予約し、録画し、視聴するというスタイルが減少している。カテゴリーの存続も懸念される。新たな製品軸が必要である」と、市場での位置づけを見直す必要性を示した。

 PCの販売は、在宅勤務の広がりなどを背景にした一時的なコロナ特需の反動や、半導体不足や円安の影響によって平均単価が上昇。その結果、需要が冷え込みつつあるという。PCパーツは、2021年6月以降の半導体不足の影響が長期化して動きが鈍化。だが、メモリや内蔵SSD、HDDベアは、GBあたりの平均単価は下げ基調にあるという。

 「ノートPC、デスクトップPC、タブレットのいずれもが、ここ2年で平均単価が2割程度上昇している。だが、メモリや内蔵SSD、HDDベアは、全体的に単価下落の傾向がある。春先に向かって単価が上昇し、年末に向かって下がるという周期的な動きがあり、現在が下がっている時期であるが、今後、メモリの減産の動きなどが見込まれ、単価は上昇傾向に転じる可能性がある」(BCN総研の森英二氏)とした。

 デジタルカメラは、コロナ禍における外出制限の影響で、2021年までは大幅な販売減少が余儀なくされたが、2022年後半から回復基調に転じ、年末商戦ではミラーレス一眼カメラや交換レンズなどが堅調に推移しているという。

 イヤホンやヘッドホン、ヘッドセットはアップルの価格改定の影響で単価が上昇。VR/ARゴーグルは、Metaの価格改定の影響で一時的に販売台数が減少する一方で、新興企業の動きが活発化している。

 なお、これから本格化する年末商戦の動向については、「インフレ懸念や急激な円安など、消費マインドが上向かない経済環境が、需要の回復を鈍らせている。年末商戦は全体的に、前年並みか、微減で推移するだろう」(道越氏)と、厳しい商戦になることを予想した。

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