NTTデータ経営研究所は11月18日、同社社員を対象に導入したワーケーション制度「ON/OFFice」について、生産性やワークエンゲージメントなどを測定する実証実験を行ない、その結果を公表した。
同社は、2017年よりテレワーク制度を導入しており、新型コロナウイルスの感染拡大を機に、在宅勤務を優先する働き方に移行した。現在は、自宅に限らず、サテライトオフィスなどを含めたリモートワークが全社員に定着しているという。
しかし、リモートワークには時間や場所の制約なく効率的に働けるというメリットがある一方で、社員間のコミュニケーション不足につながるといった課題もあり、2021年に実施した社員満足度調査では、コロナ前の2019年と比較し、「知の交流」「ビジョンの共有」の項目でポイントの低下が見られたという。
そのような状況で同社が注目したのが「ワーケーション」制度。ワーケーションについては、脳科学を中心とした研究開発やマーケット創出の実績がある社内の「ニューロイノベーションユニット」による有効性の検証などから、社員の心身の健康にポジティブな影響をもたらすことがわかっていたという。
同社のワーケーション制度「ON/OFFice」は、会社が滞在場所やワーケーションの形態などを指定して参加者を募るものではなく、社員それぞれがやりたいワーケーションを自由な発想で企画し、応募できるという制度。所属組織や職種に関係なく、4人以上の社員が集まれば誰もが応募可能で、期間は最大1週間。それぞれの企画の目的に対する企画内容の合致度などを審査の上、認められた企画には会社が宿泊費および交通費の実費を補助するもの。
同社はワーケーションの形態を指定しない理由について「より多くの社員にワーケーションという制度を利用してほしいと考えたから」と説明する。社員がワーケーションに求めるものは多様なため、社員がそれぞれのニーズに合ったオリジナルのワーケーションを企画し体験することで、心身をリフレッシュし、さらに新しいアイディアや多様な発想を創出する機会にしてほしいという思いがあるといい、滞在場所の選定や交渉、交通手段の調整、地域体験などを組み立てる過程から、若手社員の企画力醸成も狙うとしている。
ワーケーションについては社員から多くの反響があったといい、最終的に、地域関係者と交流しながら地域課題の実態を把握し課題解決を考える「地域課題解決型ワーケーション」が3グループ、参加メンバーとワークショップや議論を行う「合宿型ワーケーション」が2グループ、リゾート地に滞在し、観光や共通の趣味を楽しみながらリモートワークを行う「休暇型ワーケーション」が3グループ、8グループ、43人の社員が参加したという。
参加者は、同社のニューロイノベーションユニットが実施するWeb調査票に回答しニューロイノベーションユニットはそのデータの解析と検証を行なった。
実証実験では、効果検証を各チームのワーケーション開始1週間前(事前)とワーケーション期間中および終了日の1週間後(事後)の業務終了後に実施した。
仕事のパフォーマンス(生産性)の自己評価は、事前と比較して、ワーケーション期間中は約20%向上した。その水準は1週間後まで継続しており、ワーケーションを実施したことで仕事のパフォーマンスに良い影響が確認されたという。
また、ワークエンゲージメント(仕事への活力・没頭)の上昇および、組織コミットメントも上昇傾向が見られたことから、ワーケーションを企画・実施させてくれた会社に対する帰属意識を促進する効果があったという。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
「程よく明るい」照明がオフィスにもたらす
業務生産性の向上への意外な効果
住環境に求められる「安心、安全、快適」
を可視化するための“ものさし”とは?
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス