米国テキサス州を拠点とする衛星通信会社のAST SpaceMobileは現地時間11月14日、試験衛星「BlueWalker 3」の軌道上でのアンテナ展開に成功した。今後数カ月以内に一般的なスマートフォンとの直接通信をテストするという。
BlueWalker 3は質量1.5tの大型通信衛星で、地球低軌道(LEO)の通信衛星を用いて、宇宙から一般的なスマートフォンにセルラー通信を提供することを目指している。最終的に100機以上の衛星によるコンステレーション(衛星群)を構築し、地上から圏外を無くすことを掲げている。
衛星からスマートフォンにセルラー通信を提供する場合、主にスマートフォン側のアンテナ出力の低さがネックとなる。そこで同社は、スマートフォンが発する電波を受信する「耳」にあたるアンテナ部分を、テニスコートの4分の1のサイズに相当する約64平方mに超大型化することで、サービスの実現を目指している。
試験衛星であるBlueWalker 3の大型アンテナは、畳まれた状態で打ち上げられており、これを軌道上で展開する部分に技術的な挑戦があった。今回、アンテナの展開に成功したことで、いよいよ一般的なスマートフォンとの直接通信をテストできるようになった。
History is unfolding! We've deployed #BlueWalker3's 693-square-foot array, which is now the largest-ever commercial communications array in low Earth orbit.
— AST SpaceMobile (@AST_SpaceMobile) November 14, 2022
Read more about this important milestone here: https://t.co/4kupfxn3vO pic.twitter.com/KnE9CeWOCT
AST SpaceMobileには楽天グループも出資しており、楽天モバイルも「スペースモバイル計画」として、2024年以降の採用を目指している。楽天グループで代表取締役社長兼会長を務める三木谷浩史氏によると、通信速度はYouTubeを視聴できるレベルだという。
楽天モバイルは福島県にAST SpaceMobileの実験用ゲートウェイをインストールしたことも明かしている。AST SpaceMobileの構想が実現すれば、楽天モバイルは山間部や海上を含む日本全土100%のエリアカバーを実現できることになる。
(この記事はUchuBizからの転載です)
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