マーケティングの自動化ツールを展開するReproは10月26日、ウェブサイト表示高速化ツール「Repro Booster」の提供を開始した。独自技術のタグを入れた当日から、ウェブサイト全体の表示速度を高速化できるという。
Repro Boosterは、ウェブサイト表示の高速化をうたうツールだ。サイトに独自のHTMLタグを埋め込むだけで導入でき、運用管理も不要。手軽にONとOFFを切り替えられるほか、効果の可視化や検証も容易だという。利用料金は法人の規模に応じた月額課金となる。マーケティング担当者でも扱いやすい手軽さも特徴となる。
技術的には、ユーザーがクリックする可能性が高いリンク先を予測し、先読みする。また、サイト回遊中に取得した情報をユーザー端末に一時保存し、Repro Booster側で管理活用することで、表示の高速化を実現する。これらは主に独自の技術で実現しており、各種特許も取得したという。
さらに、リアルタイムで変動するコンテンツやページを指定して、古くなった情報を長期間残さずに自動でクリアする機能などを搭載。サイトごとの特性や施策に合わせて、先読みする情報を柔軟に指定できるとうたっている。
なお、Repro BoosterはCDNの代替ではない。CDNは画像や動画の表示を高速化するのに対し、Repro Boosterはページの遷移を高速化する。CDNとRepro Boosterを組み合わせることで、相乗効果が見込めるという。
「ウェブサイト、特にECはサイトの表示速度が命」──。Repro代表取締役の平田祐介氏はRepro Boosterの狙いについてこう語る。
Googleは2021年に発表した検索エンジンのアップデートで、検索ランキングの決定要素に「ウェブページの表示速度」が関わる指標を追加した。
また、ECではウェブページの表示速度がコンバージョンレートを大きく左右するといい「サイトの速度が遅くなると、ECでは約20%もコンバージョンが下がる」(平田氏)との調査結果もあるという。「サードパーティーのCookieが規制され、マーケティング費用も高騰する中で、ウェブサイトの表示速度こそが最大のマーケティングツール」とも平田氏は付け加える。
日本最大級の婚活パーティー情報サイト「オミカレ」でのテスト導入事例では、モバイルサイトで同期間同条件でABスプリットテストを実施したところ、表示速度が平均1秒改善し、ウェブサイト全体のコンバージョンレートが平均119%改善したという。このほか、直帰率の減少や1ユーザーあたりの訪問回数向上など、各種KPIの改善につながったという。
また、平田氏は「全員が最新のiPhoneや高性能なAndroidスマートフォンを使っていて、かつ通信状況が良好というわけではない」とも語る。日本全国さまざまな通信状況があり、かつ端末の処理性能もバラバラである中で、表示速度の遅さに起因するユーザーの離脱を防ぐ必要性を強調する。
Reproはマーケティング自動化ツールをこれまで提供してきた。しかし、平田氏によると、日本は米国などと異なりマーケティングツールを使いこなせる人材が不足しており、よりライトなマーケティングツールを開発する必要性を感じていたという。その点、Repro Boosterは「タグを入れるだけですぐにサイト表示が高速化する。運用レスで、放置するだけでサイトのパフォーマンスが上がる」と導入の手軽さを力説する。
また、平田氏によると、Repro Boosterは経営陣や新規事業プロジェクトからの発案ではなく、最新の技術を知るエンジニアから生まれたアイデアだった。
「海外のハッカソンに出て優勝して帰ってくるようなエンジニアが1人社内に在籍しているが、同社員が社員総会の際に、Slackの質問コーナーで『平田さん、ウェブサイトの表示速度を早くする技術があるんですけど興味ありますか?』と投稿して『超大事じゃんそれ』となって、1年半前くらいに開発が始まった」(平田氏)
同社はRepro Boosterを「日本にも米国にもない独自の技術」だとして、日本だけでなく米国での展開も視野に入れる。平田氏は「これまで米国で勝負できるマーケティング製品を作る必要性があると常々感じてきた。Repro Boosterの開発によって、ようやく挑戦権を得た」と語った。
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