タニタは、加齢によるからだの衰えをトータルで評価できる次世代ヘルスメーター「FRシリーズセット」を11月1日に発売すると発表した。
70歳以上の高齢者とその子世代となる50-60代をターゲットにした製品で、価格は11万円(税込)。タニタオンラインショップで先行予約を受付中。初年度1000セットの販売を予定している。
FRシリーズセットは、筋力計「FR-100L」、体組成計「FR-200L」、歩数計「FR-300L」の3機種で構成しており、計測した生体情報や活動情報を、専用のスマートフォンアプリ「TANITARING」(Android)で解析。からだの衰えを見える化する新指標「健康総合判定」の表示に対応するのが特徴だ。なお、TANITARINGでは同社の家庭用商品で初めてSMI(骨格筋指数)を表示する
タニタ 代表取締役社長の谷田千里氏は、「タニタは、高度経済成長期の日本人の生活の変化に寄り添い、体重を健康のバロメーターとして、家庭で体重測定による健康管理を提案した。1994年には、世界初の家庭用脂肪計付きヘルスメーター、いわゆる体脂肪計を発売した。肥満は、体重が重いことではなく、体の脂肪が多いことという考え方を生活者に浸透させ、肥満へのアプローチを変えた。今回のFRシリーズは、体重脂肪率に続く新たな健康指標である、『健康総合判定』で体の衰えを見える化する、まさに、次世代のヘルスメーターと呼べるもの」と説明した。
体組成計で計測していた筋肉の量だけでなく、筋力や移動能力など日常生活に必要な運動機能を計測するとともに、疲労感などの精神・心理面や日常生活の活動性など社会面、その他栄養の状態などをアプリで総合評価する。
さらに、評価に合わせた具体的な栄養や運動に関するアドバイスと目標を提示することで、シニア世代の健康づくりをサポートする。
日本は2065年に人口の38%以上が65歳以上で、さらに75歳以上の割合も25%を上回る超・超高齢社会へと向かっている。また、高齢化が進む中で、平均寿命と健康寿命のかい離(女性が12.07歳、男性が8.73歳)や、医療費の増大が大きな社会課題だ。
その要因のひとつとして注目されているのが「フレイル」となる。フレイルは「加齢により心身が衰え、弱った状態」のことを指し、要介護になるリスクを高めている。
人生100年時代といわれる今日、健康寿命を伸ばして充実した人生を歩んでいくためには、身体の健康はもちろん、趣味や地域での活動といった社会的な関わりや精神・心理面での健康状態などを総合的に把握して維持することが必要。しかし、これまで加齢に伴う心身の衰えや、社会的な活動の低下を総合的に評価し、改善を促す機器やサービスはなかったという。
今回発売するFRシリーズセットは、こうした社会背景を見据えて開発したものになる。
なお、筋力計では、両腕の筋肉量と握力を計測。体組成計では、独自開発した筋肉の状態を評価する指標「筋質点数」を計測・表示が可能となる。
歩数計は、同社が新たに開発した「がんばり歩行」を提案する機能を搭載。使用者の歩行速度の平均値から目標とする歩行速度と歩行時間の目安を提示する。なお、スマートフォンやスマートウォッチでも歩数などを記録できるが、あえて専用端末を採用したのは、より正確性な測定を求めたタニタのこだわりだという。
これら3機種で計測したデータを、TANITARINGに集積することでシニアの健康を総合的に評価。アプリ上で、食事や生活習慣などに関する質問を行い、3機種で計測した結果と組み合わせることで身体的・精神的・社会的な健康状態を評価する「健康総合判定」を表示する。
さらに、食事摂取・筋力・心身の疲労・身体機能・活動量の5カテゴリーごとに4段階で表示し、食事と運動について、改善に向けたアドバイスを行うという。
加齢に伴う身体的・精神的・社会的衰えは、複数の要素が多面的に絡み合い、負の連鎖を起こして進行する。一方で、各要素のいずれかを改善に向かわせることで進行を食い止め、元の状態に戻すことができる「可逆性」があることが特徴。心身の健康を総合的に捉え、アプローチしていくことが効果的であると考えられている。
なお、タニタは東京大学 高齢社会総合研究機構との共同研究によりフレイル分野への取り組みを加速させることも併せて明らかにした。FRシリーズセットを皮切りに健康習慣の継続を促し、健康維持と増進をサポートしていくとしている。
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