主人公が音速で移動できるスーパーヒーロー映画を見たことがあるだろうか。フィクションの世界だけでなく、約1マイル(約1.6km)4.69秒という音速飛行が、米航空宇宙局(NASA)によって実現するかもしれない。
NASAの前身である航空諮問委員会(NACA)は1947年、ロケットエンジン駆動の航空機「Bell X-1」を超音速で飛行させている。この歴史的な飛行から75年を経て、NASAは再び超音速飛行に挑戦する計画だ。
X-1の飛行では、カリフォルニア州モハーベ砂漠の上空にソニックブーム(衝撃波)と呼ばれる爆音がとどろいた。このソニックブームは、X-1がそれまで突破は不可能と考えられていた音速の壁を破ったことで発生したものだ。
NASAは「Quesst」(Quiet SuperSonic Technology:静音超音速機)ミッションで再び、ただしはるかに効率的な方法で、音速の壁を突破しようと取り組んでいる。これにより、いつか誰もがX-1パイロットのように超高速で移動できるようになる可能性がある。
NASAが運営するアームストロング飛行研究センターの航空技術者Catherine Bahm氏は、次のように述べている。「初の超音速飛行は偉業だった。そして、われわれはそこから大きく進歩した」「われわれが今やっていることは、過去の取り組みを数多く結集したものだ」
NASAによると、Quesstミッションの目的は、地上の人々にとって騒音にならないようソニックブームの爆音を緩和する技術を備えた航空機を設計・製造し、米国の一部地域の上空を飛行させることで、超音速飛行中に発生する音に対する人々の反応を分析・観察することだという。
75年前にX-1航空機が音速(マッハ1)を超える飛行を達成しているが、それ以降、現在の旅客機はこの壁を超えられないでいる。
NASAでQuesstミッションインテグレーションマネージャーを務めるPeter Coen氏は、「旅客機はこれまで50年近くマッハ0.8ほどで足踏みしている。目的地がどこであれもっと速く到着できるようになることは、今なお見果てぬ夢のようなものだ」と述べている。
Quesstミッションが成功すれば、空の旅の新時代を切り開くことになる。「旅客機の乗客はロサンゼルスで朝食の時間に超音速ジェットに飛び乗り、ニューヨーク市でのランチの予約に間に合う」ようになるとNASAは説明している。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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