進化するAI画像生成--芸術はどう変わるのか - (page 2)

　Van Goghの言葉に戻ると、絵を夢に見ることは、彼にとって出発点に過ぎない。彼の創作の意図が、そこで完結することはない。夢の後には、「自分の夢を描く」という行動が続いている。日中のどぎつい光の中で、夢はぼやけて、どこかへ消えていきそうになるが、芸術家は何とかしてその夢を捉える。過剰に美化された芸術観かもしれないが、魂をキャンバスに注ぎ込む体験には、少し神秘的で魔法のような何かがあるのではないだろうか。

　AIによって生成された芸術では、新しい芸術作品の創造から神秘性が取り除かれるが、美しくて示唆に富む画像を作り出すことも事実だ。そして、AIアートが今後姿を消すことはないだろう。

AIアートはどのように作れるのか

　AIアートを試して次の作品のインスピレーションを得たり、AI画像生成ツールでどんなことができるのか確認したりしたいのなら、最先端のテクノロジーがいくつかある。Allen氏が使用したソフトウェアのMidjourneyはミッドレンジの生成ツールで、筆者も試したことがある。「宇宙で幸せな恋をしているカップル」というプロンプトを入力したら、以下の画像が出力された。

提供：Sherin Shibu

　とてもかわいい画像だ。スタイルはシンプルかつ鮮やかで、色の選択も一貫している。

　Midjourneyは最初の25回のプロンプトまで無料で利用でき、その後はサブスクリプションが必要になる。基本プランは月額10ドル（1カ月に最大200回のプロンプト）、標準プランは月額30ドル（1カ月に最大15時間または900回のプロンプト）、法人プランは年額600ドル（1年間に最大7200回のプロンプト）となっている。

　ホームページで「Join the beta（ベータに参加）」をクリックすると、MidjourneyのDiscordチャンネルに招待される。そこから、「#newbies-1」などのボットチャンネルに参加して、「/imagine」と入力し、プロンプトフィールドをクリックして、コマンドを入力する。詳細な手順とGIFを確認したい人は、Midjourneyの公式ドキュメントを参照してほしい。

　ハイエンドの生成ツールは「DALL·E 2」で、現在、ベータ段階にある。このAIは、ユーザーが入力したプロンプトを使用して、写真のようにリアルな画像を作成する。また、物体を識別するだけでなく、物体間の関係から学習する機能も備える。

　DALL·E 2が生成する画像は写真のように見える。驚くほどのリアルさだ。上の動画に出てくる、バスケットボールをダンクシュートしようとするコアラの画像を見て、筆者は私たちの現実と同じくらい現実的な代替現実の画像だと思った。

　DALL·E 2のウェイティングリストに登録すると、このシステムを使用する最初の100万人に選ばれる可能性がある。初月は50クレジットが無料で付与され、その後は毎月15クレジットが無料で付与される。1クレジットで、1回のプロンプト（Midjourneyと同様、4枚の画像が出力される）を実行できるか、または、既存画像を1回編集できる（3枚の画像が出力される）。

　最も簡単に利用できる生成ツールは「Craiyon」だ。サブスクリプションやDiscordアカウントは不要で、ウェブブラウザーさえあれば使用できる。

　Craiyon（以前の「DALL·E mini」）は完全に無料の生成ツールで、AIを使用して、入力された任意のプロンプトを基に画像を作成する。すべてがブラウザーで実行され、2分以内に9枚の画像が生成される。