「Apple Watch Series 8」は、価格が399ドル(5万9800円)からとなり、手首の位置に独自のセンサーを追加して、温度センサー付きウェアラブルデバイスの仲間入りを果たした。Fitbitの「Sense」をはじめ、Ouraの「Oura Ring」やAmazonのフィットネスバンド「Halo」、サムスンの「Galaxy Watch5」など、温度センサー付きウェアラブルはここ数年のトレンドになっている。数週間前に筆者が調子を崩したときも、指にはめたリングが発熱を教えてくれた。そうした自分の経験から、皮膚温の測定は単なる新機能にとどまるものではないと感じる。
それから、新しい「Apple Watch」はこれだけではない。廉価版の「Apple Watch SE」と、より高価な「Apple Watch Ultra」まで幅広く用意されており、価格もApple Watch SE が249ドル(3万7800円)から、Apple Watch Ultra が799ドル(12万4800円)からとなっている。
2022年は、この3種類のApple Watchが登場したことで、仮に購入するとすれば、どれを選ぶかが悩みの種となる。だが、皮膚温センサーの採用だけでは、特に、「Apple Watch Series 7」や「Apple Watch Series 6」を既にお持ちの場合、Series 8への買い換えを検討するには足りないかもしれない。それでも、Series 8が、中間をとった最善の選択肢になるだろう。バッテリーの持続時間が変わっていない点を除けば、の話だ。
Apple Watch Series 8を2週間ほど使ってみたが、2021年モデルのApple Watch Series 7と見かけが全く同じで、機能も概ね変わっていない。Series 8で新たに加わったのは、皮膚温センサーのほか、改良されたジャイロスコープと加速度センサーで自動車の衝突事故が検出され、緊急時に自動的に救急サービスに知らせるようになったことくらいだ。
衝突事故検出の機能はテストしていない(理由はお分かりだろう)。Appleでは今のところ、排卵周期の追跡に使われる以外では、皮膚温データがより深い知見を出したり健康指導の指標に使われたりはしていない。どちらの機能も、時間が経てば有用であることが判明するのかもしれないが、どのくらい実用的かはまだ不明だ。いずれにしても、バッテリー持続時間が改善されなかった以上、Series 8は夜の睡眠記録にも皮膚温の追跡にも理想的とは感じられない。
Series 8で一番いいのは、ソフトウェアが改善されたところだ。「watchOS 9」では、実にすばらしい新機能がいくつか追加されている。「コンパス」アプリは、GPSを介してユーザーの足取りを追跡し、ハイキングなどのときに出発点までの帰路を示してくれる。そのほか、服薬の追跡、複数ステージの睡眠記録、一部の機能を停止してバッテリー持続時間を延ばす低電力モードなども追加される。しかし、これらの機能を使うのにApple Watchを買い直す必要はない。無料でwatchOS 9にアップデートすれば、こうしたアップグレード機能を使えるようになり、新モデルを買った気分に浸ることができる。
Apple Watchは、毎年着実にアップグレードを積み重ねるというアプローチで機能向上を続けている。ある年には常時オンディスプレイ、その翌年には血中酸素濃度の測定、ディスプレイの若干の大型化、そして今回の皮膚温センサーといった具合だ。何年分かを飛び越してアップグレードすると、新しい機能がまとめて追加されることになるが、Apple Watch Series 7のユーザーから見ると、買い換えの動機には乏しく感じるだろう。
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