サムスンは8月に開催した新製品発表イベント「Galaxy Unpacked 2022」で、価格を抑えた新しい折りたたみ式スマートフォン「Galaxy Z Flip4」を発表した。耐久性の向上や本体の薄型化によって、現時点で購入できる折りたたみ式スマートフォンとして最高の製品の1つになった点を別にすれば、前モデルとよく似ており、やはり「iPhone 13」や「Galaxy S22」などのフラッグシップモデルと同じくらい高額だ。サムスンはいくつかの理由で価格を下げていない。つまり、2022年中に、そしておそらく当分の間は、折りたたみ式スマートフォンが手ごろな価格になることはなさそうだ。
折りたたみ式の価格が高いままなのは、ヒンジや折りたたみ式ディスプレイのせいで、通常の平らな本体のスマートフォンよりも製造するのが複雑だからだと、Counterpoint ResearchのシニアリサーチアナリストJene Park氏は指摘した。インフレが全てのデバイスの生産コストを引き上げているため、価格は下がらなくても抑えられている。「価格の据え置きこそ、サムスンが価格を下げようとしている努力の現れだ」とPark氏は述べた。
「Galaxy Z Fold4」は1800ドル(約24万9000円)と高額である一方、Z Flip4は折りたたみ式へのエントリー製品として購入しやすい価格(999ドル、約13万8000円)で消費者にも人気がある。サムスンはZ Flipシリーズについて、同社が販売した折りたたみ式スマートフォンの7割を占めていると説明している。最高経営責任者(CEO)のT.M. Roh氏はUnpacked 2022で、折りたたみ式スマートフォンをさらに主流の製品にしたいと述べた。購入に興味を持っている消費者にとってZ Flipシリーズが、折りたたみ式製品を購入してきちんと使えるか様子を見るための入り口になるのは明らかだ。
フラッグシップ端末には手が出ないという消費者が購入する価格帯として、600ドル(約8万3000円)ほどのミッドレンジスマートフォンに匹敵するほど低価格であれば、より多くの人が折りたたみ式スマートフォンを使ってみようとするだろう。
部品の価格が下がらなければ、折りたたみ式スマートフォンの価格も下がりそうになく、そうなるのは部品が量産されるようになってからだ。折りたたみ式スマートフォンを購入する消費者は増えており、出荷台数は2021年の900万台から2022年には1600万台になると、CounterpointのPark氏は予測している。ただし、たとえ予想を上回る急成長を遂げたとしても、そうした需要に合わせて部品やディスプレイのサプライチェーンを増強するのは難しいかもしれない。Appleが独自の折りたたみ式スマートフォンの開発を急がない理由の1つはこの点にあると、調査会社TECHnalysis ResearchのアナリストBob O'Donnell氏は述べている。
「(折りたたみ式の)ディスプレイは量産が難しく、Appleが折りたたみ式端末を出すとなれば、どこかのメーカーに発注されるディスプレイの生産数は1億ほどになるだろう。メーカーはまだ、その準備ができていない」(同氏)
折りたたみ式製品をめぐる競争に参戦しているスマートフォンメーカーはまだ多くないが、先頭に立っている企業を挙げるとすれば、先ごろ発表した折りたたみ式デバイスが第4世代になるサムスンだろう。同社はとりわけ、ミッドレンジの「Galaxy A」シリーズのラインアップで折りたたみ式スマートフォンを展開する計画を発表しているため、最初に600ドルの折りたたみ式スマートフォンを発売する可能性が高いとCounterpointのPark氏は見ている。同氏は、早ければ2024年にも発売するのではないかと予測している。
「Galaxy Aシリーズの最高価格が600ドル台であることを考えると、これまでで最も低価格の折りたたみ製品になることが予想される」(Park氏)
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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