KDDI、KDDIスマートドローン、ティアフォー、Psychic VR Labの4社は8月25日、茨城県つくば市の協力のもと、内閣府から採択された「先端的サービスの開発・構築等に関する調査事業」の取り組みを開始すると発表した。
複数台のドローンと自動配送ロボットを組み合わせ、PCR検体輸送などのさまざまな目的に応じた物流サービスの実現可能性の検証などを実施するという。
つくば市は、公共交通による市内移動の効率性が十分でなく、自家用車がないと周辺地区における生活用品の買い物や処方薬の受け取りが困難であるといった課題がある。日本においても物流分野の人手不足が社会課題となっており、さまざまな物流手段の整備が必要となっている。
これらの課題解決に向け、複数台のドローンと自動配送ロボットを組み合わせ、目的に応じた物流サービスの可能性を検証する。
具体的には、2022年度を目途に実現予定の「有人地帯における補助者なし目視外飛行」(レベル4飛行)を想定し、新型コロナウイルス感染症PCR検体の医療機関への輸送実証(実証エリア協力: 筑波大学)や、複数のドローンによる複数の目的に応じた配送サービスを提供する。
KDDIスマートドローンの運航管理システムで複数ドローンの飛行を遠隔管理し、複数台同時運航におけるリスク評価のあり方などを検討するという。
なお、PCR検体輸送を導入済みの中国では、輸送時間が3分の1に削減されるなどの効果が出ている。日本においてもPCR検体などの輸送ルールの整備を目指す。
ドローンの飛行に伴い、現実空間にバーチャルコンテンツを重ね合わせるリアルメタバースを、都市連動型空間メディアとして活用。ドローンの飛行経路を可視化、「空の道」をつくるという。
加えて、自身の生活圏内の上空を飛行するドローンの万が一の落下リスクなどを不安に感じる住民の存在を想定し、飛行経路や運行情報をリアルメタバース上にARコンテンツとして表示する。地域住民がリアルタイムでそれらを視覚的に認識することで、ドローンの社会実装に向けた地域住民の認知獲得および、理解浸透にも取り組んでいくという。
都市連動型空間メディアを通じて、つくば市らしいコンテンツやWeb3.0教育プログラムを提供する取り組みも実施する。
都市空間をメディアとして活用できるリアルメタバースの社会実装に向けたつくば市らしいコンテンツとして、スマートフォンやデジタルサイネージを通じてオンラインのデジタルツイン(バーチャル空間)にアクセス、ARやMR体験が可能なソリューションを提供する。
唯一無二であることをブロックチェーン技術で証明するNFTを活用したつくば市独自のAR、MRコンテンツも発信できるという。
また、XRの表現を学ぶ「NEWVIEW School」をWeb3.0に拡張し、特別な教育プログラムとして提供する。メタバースやWeb3.0の概要、 XRコンテンツ制作の一連のプロセスに加え、制作に使用するソフトウエアの使い方、NFTの付与、マーケットプレイスでの販売まで、Web3.0時代のコンテンツ制作、情報発信に必要なスキルを総合的に学ぶことができるという。
つくば市は2022年4月、大胆な規制改革を伴ったデータ連携や先端的サービスを実現し、移動・物流、医療・介護、子育てなど、さまざまな分野の地域課題を解決する「スーパーシティ型国家戦略特区」に指定されている。
スーパーシティは、デジタルを通じて地域の個性を生かしながら地方を活性化し、持続可能な経済社会を実現するという「デジタル田園都市国家構想」の先導が期待されているという。
つくば市は、連携する4社の知見を活用し、データ連携や先端的サービスの社会実装を通じて地域課題を解決し、デジタル田園都市国家構想の早期実現につなげるとともに、サステナブルな社会の実現に向けた取り組みを推進していく。
4社は、同調査事業を踏まえ、2023年度以降のサービス化を目指し、先端技術で地域課題を解決するつくば市の「スーパーシティ」構想の実現に向けて取り組んでいくとしている。
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