ジェーシービー(JCB)とデジタルガレージ(DG)、大日本印刷(DNP)の3社は8月9日、渋谷区デジタル地域通貨事業に対し、近距離無線通信技術(Near Field Communication:NFC)タグを活用した非接触型の新決済サービス(NFCタグサービス)を提供すると発表した。
スマートフォンをかざすだけで情報を読み取れるため、カメラの起動、読み取りといった操作が必要なQRコードに比べ、簡易に利用できる。
渋谷区は、コロナ禍において渋谷区らしい持続的な産業振興を行うため、区独自のデジタル地域通貨事業の実施を決定。カヤック、JCB、ポケットチェンジとの協働事業として、2種類のデジタル通貨アプリを2022年中に提供する予定だ。
1つは、カヤックとポケットチェンジがアプリを共同開発するキャッシュレス決済アプリ「ハチペイ」で、渋谷区内の店舗やコミュニティ、イベントなどで利用できる。クレジットカードや銀行ATMからチャージし、円の代わりに支払いが可能。ポイント還元やプレミアム付商品券、割引などのさまざまなインセンティブが得られるという。
もう1つは、カヤックが企画開発したコミュニティコインサービス「まちのコイン」を活用したコインアプリ「ハチポ」で、換金性がないため原資が不要だという。地域活動などで獲得するコインを店舗やイベントでの特別な体験に利用できるほか、コインの一部をハチペイのポイントに交換できたり、ハチペイのポイントがコインに還元されたりするという。2つのアプリ双方を効果的に活用し、お得さと楽しさの相乗効果を狙う事業になるとしている。
ハチペイでは、決済方式にQRコードのほか、JCBとDG、DNPの3社が提供するNFCタグサービスを採用する。
ユーザーは、店舗に設置したNFCタグにスマートフォンをかざしてウェブブラウザを起動し、表示した画面から決済できる。決済方法は、利用者で決済金額を入力する方法や、表示されたメニュー、商品などから選択する方法を用意する。店頭でカードを財布から出したり、決済アプリやカメラを探して起動したりする必要がないという。
NFCタグサービスの決済手段は「Apple Pay」「Google Pay」で、利用可能なカードブランドは、「JCB」「American Express」になる。なお、渋谷区デジタル地域通貨事業においては、同通貨での決済機能のみの提供になる。
また、DNPの「DNP NFCタグ認証プラットフォーム」を活用。タグの複製、URL情報の改ざんや二次使用などによる偽造防止と不正使用防止を実現している。
店舗は、決済専用端末を用意する必要がなく、電源や通信機器も不要。これにより、無人決済や今まで決済端末を置けなかった環境に対し、セキュアなNFCタグを設置することで、決済が可能になるという。
店舗の負担は、支払い方法ごとの決済手数料のみ。NFCタグや店頭掲示物などサービス開始に必要なものは、無料で提供される。ただし、店舗スタッフが使用するタブレット、スマートフォン、PCなどの情報機器については、別途用意する必要がある。
なお、ウェブブラウザで表示する内容は、利用店舗ごとでメニューを設定できる。テーブルオーダー用途として利用すれば注文業務の削減にも有効だという。
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