ファイターズ スポーツ&エンターテイメントとパナソニックは7月20日、北海道日本ハムファイターズの新球場「ES CON FIELD HOKKAIDO(エスコンフィールド)」を核にした「北海道ボールパーク F ビレッジ(F ビレッジ)」においてパートナーシップ契約を結んだと発表した。照明設備や各種演出設備による新しい観戦体験を提供する。
エスコンフィールドにパナソニック製の照明器具354台を導入するほか、約600台のサイネージを設置。三塁側ラウンジを「Panasonic CLUB LOUNGE」と名付け、パナソニックの製品、サービスを体験しながら試合観戦ができる場として提供する。
エスコンフィールドは、2023年3月に開業する新球場。敷地面積5ヘクタール、収容人数は3万5000人。左右非対称の造りで、屋根の開閉が可能だ。新千歳空港と札幌のほぼ中間地点にあたる北海道北広島市に位置し、球場に加え、「沢エリア」と呼ばれる商業エリアを設けているのが特徴。天然温泉&宿泊施設のほか、商空間、体験型農園、クラフトビール醸造、レジデンスなどを備える。
ファイターズ スポーツ&エンターテイメント 取締役事業統轄本部長の前沢賢氏は「球場はもちろん沢エリアの商業施設なども同時にオープンするのが今までの球場との違い。プロ野球ビジネスを生業としてきた私たちがなぜ野球に関係のないものをやるのか、とおっしゃる人もいると思うが、野球ファンはもちろんスポーツに接点のなかった人にもこの街づくりに賛同し、参加してほしいと思っている」と意図を話した。
球場内に備えられたLED投光器は2kW相当が226台、1kW相当が128台。球場の照明はぐるりと周囲を囲うように分散設置するのが一般的だが、エスコンフィールドは前と後ろのみに配置する独特の設置方法を採用。アスリートファーストを守りながら、まぶしさの原因となる光の重なりをへらすことで、光源を見上げたときのグレアを低減。設置についても、見た目が美しい扇形ではなく、バラバラの方向にすることで照射方向を分散させ、光の重なりを減少させているという。
LEDの演色性(Ra)は、IOC競技レベル基準に対応する「Ra90」にすることで、芝生やユニフォームなどを色鮮やかに映し出せるとのこと。試合観戦時に色の美しさを再現することで来場者の感動を高めるほか、DMX制御技術を使用することで、光の明るさと抑揚の組み合わせでさまざまな演出ができるなど、運営者側にも扱いやすくなっているという。
まぶしさの抑制については、パナソニックが持つ「スポーツVR」技術を盛り込み、工事前に照明環境を事前検証することで、ビジュアルかつリアルタイムな検証を実現している。
パナソニックでは照明機器のほか、サイネージや映像制作ソリューション、冷暖房熱源装置などもあわせて導入。「単なる機器導入で終わるのではなく、パートナーシップをいかし、アップデートを続けながら北海道日本ハムファイターズやファン、地元の方々と関係を続け、地域に貢献していきたい」(パナソニック エレクトリックワークス社 副社長マーケティング本部本部長の稲継哲章氏)と、長く関係を築いていきたいとする。
前沢氏は「プロ野球は日本の人口増加のなかで成功してきたビジネスモデル。しかし人口減少の局面を日本が迎える中、過去の経験は役に立たないと思っている。対応策として競技者人口を増やすのも1つだが、野球の近くに違うものをかけ合わせる視点も非常に重要」と、新たなベースボールビジネスについて話した。
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