The Guardianは現地時間7月10日、Uber Technologiesから流出した大量のファイルやメッセージについて報じた。それらの文書によると、同社は「積極的な世界展開」を続ける中、詐欺的で違法とされる手段を用いたようだ。
記事によると、Uberは共同創設者で元最高経営責任者(CEO)のTravis Kalanick氏の在任中に、「法を無視し、警察をだまし、ドライバーに対する暴力を利用し、各国政府に対して密かにロビー活動を行った」という。
The Guardianは、2013年から2017年にかけて作成された電子メール、「WhatsApp」のメッセージ、報告資料、請求書など、12万4000件以上の文書を入手した。「Uberファイル」と名付けられたこれらの文書は、40カ国以上におけるUberの活動を明らかにするものだとThe Guardianは報じている。
流出した文書は、国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)、およびLe Monde、The Washington Post、BBCなどの報道機関と共有されている。
The Guardianの記事により、当時、経済産業デジタル大臣を務めていたフランスのEmmanuel Macron大統領について、Uberに抗議する多くのタクシードライバーらがデモを行った際にKalanick氏の支持に回ったことが明らかになった。
記事によると、Uberのドライバーたちをデモの現場に送り出せば暴力沙汰に巻き込まれる危険があるという幹部らの懸念に、Kalanick氏は耳を貸さなかったという。同氏は「それをする価値はあると思う。暴力は成功を約束してくれる」と言ったとされる。
繰り返されるスキャンダルを受けて、Kalanick氏は2017年にUberを去った。その後を引き継いだのが、ExpediaのCEOだったDara Khosrowshahi氏だ。Khosrowshahi氏の仕事は、同社のそれまでの行為に対する謝罪と、「有害な」企業文化を是正する試みから始まった。
流出文書は、事業の拡大を続ける中でUberが各国政府の関係者に働きかけたロビー活動についての詳細も伝えている。Joe Biden米大統領(当時は副大統領)やドイツのOlaf Scholz首相(当時はハンブルク市長)の名前も挙がっているほか、労働法を変えようとする動きがあったことも分かっている。
Uberはこの記事に対するコメントを公開し、次のように述べている。「当社の現在の価値観と明らかに異なる過去の振る舞いについて、われわれはこれまでに言い訳したことがなく、これからもするつもりはない。その代わり、われわれが過去5年間にしてきたこと、また、これからすることによって当社を判断するよう、皆さんにお願いする」
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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