ソフトバンクは7月5日、ICT(情報通信技術)を活用して知的、発達障がいのある児童が安心して公共交通機関を利用できる環境を実現する実証実験を実施したと発表した。
ことでんバスの協力と四国運輸局の賛同を得て、香川大学と7月4日に実施。ソフトバンクが提供する支援アプリ「アシストガイド」を活用したという。
知的、発達障がいのある人の中には、いつもと違う環境になると外出時に全体の見通しが持てず、不安を感じてパニックになったり、1人で公共交通機関を利用して外出することをためらったりする人がいるという。
また、多くの公共交通機関は身体障がい者のサポートにある程度のノウハウを蓄積している一方で、外見からは困難さが分かりにくいため、公共交通機関のサポートが不十分な場合も多くあると指摘。知的、発達障がいのある人が、安心して公共交通機関を利用できる環境の構築が求められていると説明している。
ソフトバンクは、困り事を抱える子どもの日常生活や社会活動を支援するアプリとして、アシストガイドを提供している。保護者や支援者が子どもの「やること」「やりかた」を登録すれば、子どもはその日に「やること」をひとつずつ、順番に確認できるという。実行方法が分からない場合は、「やりかた」「行きかた」「持ちもの」を視覚的に確認することも可能だ。
実証実験では、1人で電車やバスに乗れなかった児童が、「見通しを持って、1人で公共交通機関を利用した移動が可能になるか」や、「可能な場合はどのような手順で実現すればよいか」などを確かめたという。
結果として、「高松市内の路線バスを利用して高松駅と養護学校を往復する」という実際の通学経路を、アシストガイドを活用して通常運行中に1人で移動できることが確認できたとしている。
香川大学は、自閉症や知的障がいのある子どもがICTを活用して本来の能力を発揮できるようにする支援技術や、特別支援教育の分野で先進的な研究に取り組んでいる。
ソフトバンクはこれまでも、香川大学教育学部 特別支援教育領域 坂井聡研究室・技術領域 宮崎英一研究室のアドバイスの下、アシストガイドを知的、発達障がいのある人に活用してもらえる可能性を検討。共同で機能の向上や活用方法の調査、実証実験、普及活動などを実施していた。
両者は、知的、発達障がいのある児童が1人で公共交通機関を利用することに対する不安を払拭することで、知的、発達障がいのある人の就学や就職、余暇における生活の質の向上につなげるため、今回の実験で得られた成果を踏まえ、アシストガイドの機能拡充を推進していくという。
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