ヤフーは6月21日、「Yahoo! JAPAN」の広告サービス品質向上のための審査実績をまとめた、2021年度の「広告サービス品質に関する透明性レポート」を公開。2021年4月1日~2022年3月31日の期間、同サイトの基準に抵触するとして約1億3千万件の広告素材を非承認にしたことなどを報告した。
ヤフーは、Yahoo! JAPANの広告の品質を担保すべく、日々審査を実施。ユーザーや広告主、広告会社、広告配信パートナーがYahoo! JAPANの広告サービスを安心して利用するため同レポートを2019年から公開しており、今回で5回目となる。
2021年度下半期は、繰り返しの違反表現、非承認広告の大量入稿などから、5324件の広告アカウントを非承認としている。
ヤフー マーケティングプラットフォーム統括本部 トラスト&セーフティ本部長 一条裕仁氏は、2021年度上半期の4202件という数字と比較しながら、「新規アカウントの申し込み層が増加して絶対数が伸びたが、割合に大きな変化はなかった」と説明した。
非承認理由の内訳も紹介。アカウント開設時の審査では、対象のサイトが確認できず適切な審査ができない、過去の広告表現に重大な違反が確認できたなどが多く、アカウント開設後の審査では、登録情報から不正な項目の懸念あり、アカウントに違反実績があるなどが多かったという。
2021年度に非承認にした広告素材は約1億3000万件。2020年度と比較して全体の入稿数が増加するなか、非承認数は低下した。一条氏は「啓蒙活動や勉強会を実施した結果、ガイドライン違反広告の入稿数が減った」と分析しており、手応えを感じていると語った。
一方、非承認にした広告素材数を2020年度と2021年度の下半期で比較すると、特定の広告主による大量の非承認広告の入稿などを理由に、約2000万件弱の増加となった。
非承認とした広告素材の内訳は、ナンバーワンなどをうたう「最上級」表示や、「薬用化粧品」などの非承認数が割合、件数ともに増加した。
ヤフーの広告はYahoo! JAPANのサイトやアプリのほか、パートナーのさまざまなサイトやアプリでも配信、掲載しているため、掲載先の審査も実施している。
2021年下半期における事前審査時の非承認率は24%と増加。一条氏は要因として、「安全性を担保すべく、アプリの場合は法人アプリのみを許可しているが、該当しないものが一定数あった」と、アプリの数が増えたことにあると説明した。
また、審査後に実施したパトロールで停止となったサイト数は約3000件、サイト内の一部カテゴリーやページといった“URLブロック”件数は約25万件だったと報告した。
無効なトラフィックやクリックを検知する“アドフラウド対策”の結果も紹介。広告のリクエストやインプレッション時の無効検知、クリック時の無効検知の2種類を実施しており、それぞれ1.6%、3.7%を無効と認めたという。一条氏は「クリックの無効検知で見た場合、2021年下半期は45億円のクリックを不正として検知した」と補足した。
ヤフーは2019年5月、広告掲載におけるさまざまなチェックポイントを「広告品質のダイヤモンド」として定義。「適正な広告効果の可視化」などで構成する広告における3つの価値と、「視認性」「プライバシーの配慮」などの6つの対策項目を公開している。
また、ヤフーの親会社となるZホールディングスは2021年7月、「デジタル広告事業に関する情報開示の在り方検討会」を設置。デジタルプラットフォーム事業者としての情報開示の在り方、透明性を向上させるために必要な体制などについて外部の有識者と検討し、2022年3月4日に提言書としてまとめている。
ヤフーは受領した提言書を踏まえて4月、「広告アカウント審査基準」を初公表。審査基準を明文化して公開するなど、広告品質の確保、透明化の向上を推進している。
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