フジテレビは6月17日、AI技術を用いたプレイスメント「iCADs」を本格的に始動すると発表した。動画コンテンツ本編内に広告情報を付与するAVOD(広告情報付き無料動画配信)の新しい形として提供する。
iCADsは「in Contents Ads」の略称で、短期間でコンテンツ内に広告情報や商品情報を合成、再構築し、「元の番組とは異なるコンテンツ」として配信するサービス。通常のAVODは、動画の前後や途中にインストリーム広告が入る構造になっているが、iCADsは動画本編に看板などの広告情報や商品情報を合成する。
本格導入するのは、6月17日に無料配信されるFODオリジナルドラマ「30禁 それは30歳未満お断りの恋。」(全8話。毎週1話ずつのAVOD配信)。第3話では、建物の壁面に元々貼られていなかったポスターを合成し、シーンに合わせてポスターが自然に映り込む仕様を採用し、「ミュゼプラチナム」のポスターをコンテンツ本編内に合成、再構築している。こちらのコンテンツは、TVer、GYAO!でiCADs版、FODで通常版を配信する。
映画や配信コンテンツなどでは、映像内に商品情報などを露出させ、その商品情報の認知度やブランドイメージの向上を図る、プロダクトプレイスメントという広告手法が存在する。しかし、収録の際に実際の商品などを設置する従来の方法では、商品情報の露出チェックとコンテンツ制作進行のバッティング、露出量のコントロールの難しさ、また後年の削除の難しさなど、留意すべき注意点が多数あるとのこと。近年のデジタル合成処理技術の進歩により、ある程度の解決策は生み出されているものの、費用や期間などの課題が残っているという。
iCADsでは、AI技術の活用により、これらを数日間で作業できる上、カメラの動き、背景、露出時間などを自動解析することで最適なプレイスメントを提案することが可能。将来的には視聴ユーザーの属性に応じて配信コンテンツ内の広告情報を出し分けるなど、「視聴ユーザー属性に対応した動画内広告」の実現を目指し、検証を進める予定としている。
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