[ブックレビュー]漫画の神様が生み出した名言の数々--「手塚治虫マンガを哲学する」

フライヤー編集部2022年06月25日 08時00分
リベラル社
内容:本書には、50の問いが用意されている。「ブラック・ジャック」や「鉄腕アトム」といった手塚治虫の代表作を中心に10作が取り上げられ、登場人物のセリフをもとに、「正義」や「命」は何かといった真実に迫っている。1作品につき5テーマ設けられ、より卑近な「肩書きとは」「バンソウコウとは」といった問答もある。

 正義とは何か。強さとは、人間とは、苦、死とは――。

 一つひとつが大変に重い、いずれも容易に答えが出ない問いだ。

 本書には、そうした問いが50用意されている。「ブラック・ジャック」や「鉄腕アトム」といった手塚治虫の代表作を中心に10作が取り上げられ、登場人物のセリフをもとに、「正義」や「命」は何かといった真実に迫っている。1作品につき5テーマ設けられ、より卑近な「肩書きとは」「バンソウコウとは」といった問答もある。

 「肩書きとは何か」と尋ねられ、あなたはどう答えるだろうか。「私は賞とか肩書きとかが大っきらいでねえ」と言い放つブラック・ジャックなら、どうだろう。

 強さ、戦争、国家、人間、命、死――。一生かかっても答えにたどり着けなさそうな深遠な問いの数々。しかし、手塚治虫の生み出した作品を読むと、不思議とその答えに近づけた気になる。1970~1980年代に連載された「ブッダ」では「死ぬということは、人の肉体という殻から、生命がただとびだしていくだけだ」と説かれている。

 作中のキャラクターには、手塚治虫の思考や信念が当然反映されている。手塚治虫は最晩年、母校の生徒を前に「僕たちが死んだ後、何か別の世界があるんじゃないか。人間っていうものは長い生命のつながりの中で、ほんのわずかだけが人間で、その前と後にもっと長い、別の命の塊みたいなものがあるんじゃないかな」と話していた。また別の場所では、肩書について「私はね、肩書きっていうのが非常に嫌いなんです」とも語っている。作中の人物と重なる部分がありはしないか。やまない戦争や終息が見えないパンデミックのニュースが連日報じられ、ややもすると厭世的な考えが頭をもたげそうになる現代。偉大なマンガの名言の数々は、時代を超越する真実への手がかりを提供してくれるはずだ。

今回ご紹介した「手塚治虫マンガを哲学する 強く生きるための言葉」の要約記事はこちら。この記事は、ビジネスパーソンのスキルや知識アップに役立つ“今読むべき本”を厳選し、要約してアプリやネットで伝える「flier(フライヤー)」からの転載になります。

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