いままさにメタバースのムーブメントが引き起こされようとしている。連日のように「メタバース」という言葉がメディアを賑わせているし、ゲームを通じてメタバース的な世界にどっぷり浸かっているという人も多いだろう。メタバースは、これまでのインターネット革命とも一線を画す、大きな変化を人間にもたらすかもしれない。本書によると、メタバースは「神」の民主化なのだという。神にしかできなかった世界創造の力を人類に開放する。メタバースの本質は自分だけの世界を創ることなのだ。
現実世界と仮想空間が融合した映画『マトリックス』のような世界は、もうすぐそこまで来ているのかもしれない。本書でも、人間の五感が現実だと感じるなら、仮想空間であっても「物理的」だとしている。「神」が民主化されるメタバースの中では、だれでも自由に自分に都合の良い世界を創り、なりたい自分になることこそが現実にとってかわる。その先にあるのはユートピアか、ディストピアか。メタバース時代が到来しつつある今こそ、人類の在りようと向き合う必要性に迫られているのだ。
本書が指摘するように、金儲けを第一と考える資本主義社会は限界を迎え、環境破壊や格差の拡大が問題視されるようになってきた。人々に閉塞感が漂い、現実社会は幸福ではないと感じる人も増えているだろう。資本主義の次の時代では、メタバースはどんな役割を果たすのだろうか。知識がなくても考えるスタートラインに立たせてくれる1冊である。
今回ご紹介した「世界2.0 メタバースの歩き方と創り方」の要約記事はこちら。この記事は、ビジネスパーソンのスキルや知識アップに役立つ“今読むべき本”を厳選し、要約してアプリやネットで伝える「flier(フライヤー)」からの転載になります。
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