ソニーグループ、「PS5は過去に類を見ない需要」--生産数大幅拡大へ

 ソニーグループは、5月26日に開催した事業説明会において、ゲーム&ネットワークサービス分野の事業方針について説明。ソニー・インタラクティブエンタテインメント 社長兼CEOであり、ソニー・インタラクティブエンタテインメントの代表取締役社長を兼務するジム・ライアン氏は、「2022年度は、『PS5』の生産数を大幅に拡大する予定であり、PS4の3年目と比べて供給量の差を縮め、2023年度内には、PS4の4年目のインストールベースを超えることが可能になる」と述べた。
PS5は、2020年11月に発売以来、2020年度には780万台、2021年度には1150万台を出荷していた。2021年度は当初、1480万台以上の出荷を計画していたが、コロナ禍でのサプライチェーンの混乱もあり、部品調達の遅れが影響。計画数を出荷できなかった。

ソニー・インタラクティブエンタテインメント 社長兼CEO、ソニー・インタラクティブエンタテインメントの代表取締役社長のジム・ライアン氏
ソニー・インタラクティブエンタテインメント 社長兼CEO、ソニー・インタラクティブエンタテインメントの代表取締役社長のジム・ライアン氏

 2022年度は、現時点で部品調達の目途が立っている1800万台を販売目標としている。発売1年目としては、「PS4」の出荷実績を上回っていたが、2年目には供給不足によって、PS4の出荷実績を下回った。2022年度の出荷でその差を縮め、2023年度以降に、累計出荷台数を追い抜くことになる。

「PS5」供給と課題
「PS5」供給と課題

 ライアン氏は、「PS5の供給状況は改善しつつあるが、新型コロナウイルス関連の不確実性は残っている。とくに上海などで続いているロックダウンの影響は予測できない部分がある」としながらも、複数のサプライヤーから部品を調達したり、PS5の物流ルートを確保するための交渉を継続することで、部品供給への対策を行っていくことを示した。

 また、ライアン氏は、PS5に対して、「過去に類を見ない需要」があるとし、「発売から18カ月を経過したいまでも完売の状況が続いている。購買意欲はPS4の同時期と比べて2倍に達している」とした。

 米国の小売店では、8万台の実売に達するまで、PS4では9日間かかったのに対して、PS5では82分間で完売したという。

過去に類を見ない需要
過去に類を見ない需要

 また、ゲーム&ネットワークサービス分野の2021年度業績は売上高が2兆7400億円、営業利益が3460億円と、いずれも過去最高を達成したことに触れながら、「過去にはプラットフォームの移行期は業績が急激に低迷していた。だが、PS5への移行期は過去とはまったく異なり、移行期にもかかわらず、過去最高の業績となった。新たなプラットフォームにおける強固なビジネス構造、PS4コミュニティの規模やエンゲージメント、サービスビジネスによる売上げが貢献している」と述べた。

プラットフォーム移行期における過去最高の売上高・営業利益
プラットフォーム移行期における過去最高の売上高・営業利益

 そのほか、PS5では、ゲームプレイのアタッチレートをはじめとする7つの主要な指標において、PS4を上回る結果となっていること、コンソール1台あたりの平均支出額はPS4を15%上回っていることも示した。

PC向けゲームタイトル大幅成長へ「最も劇的な変化になる」

 また、2022年度以降に、PC向けゲームタイトルの売上げを大幅に成長させる考えも示した。さらにモバイル向けをあわせると、ゲームタイトル数では、全体のほぼ半分近くまでを占めることになる。2025年度のタイトル数の構成比はPS5で半分強、PCおよびモバイルで半分弱となる。

 ライアン氏は、「2025年度までにリリースする新作タイトルのほぼ半分がPCおよびモバイルになる」とし、「これまでの歴史において、最も劇的な変化になる。ビジネス構造を変革するものになる」と位置づけた。

 2021年度には8000万ドルだったPC向けタイトルの売上高を、2022年度には3.8倍となる3億ドル以上に引き上げる計画だ。

 2020年8月に発売した「Horizon Zero Dawn」は239万8000本、2021年5月に発売した「Days Gone」は85万2000本を販売。2022年1月に発売した「God of War」も97万1000本を販売し、「高い評価を得ている」と、PC向けタイトルの実績に手応えをみせる。

PCタイトルにより売上成長を維持
PCタイトルにより売上成長を維持

 ライアン氏は、「これまでは、コンソールという制限されたゲーム市場でビジネスを行ってきたが、PCおよびモバイルに拡大することによって、より大きな市場でビジネスができるようになる」とし、「2023年度以降は、ライブサービス戦略により、PC向けの売上高を大幅に増加させたい。この分野に対して、正しい知識を持ち、正しく実行すれば、大きな成長の機会につながる。私たちのゲームを楽しむ人たちが増えることになる」と語った。

 さらに、PlayStationのゲーム体験を、バーチャルリアリティやクラウド、メタバースなどに展開していく考えも示した。

 2022年5月からスタートした新たな「PlayStation Plus」についても言及。新サービスでは、これまでのPlayStation Plusと同様のサービスを提供する「エッセンシャル」、400以上のPS4およびPS5タイトルをダウンロードしてプレイできる「エクストラ」、クラウドストリーミングサービスを利用できたり、購入前の試遊を可能にしたり、定番ゲームをプレイできる「プレミアム」の3つのプランを用意していることを説明し、「プレミアムは、過去の世代のコンソール向けの旧作タイトルをプレイすることが可能になる。最も熱心なプレイヤーにとって、魅力的なサービスになる」とした。

新たな「PlayStation Plus」
新たな「PlayStation Plus」

 新たなサービスへのリニューアルについては、「PlayStation Plusと『PlayStation Now』という、それぞれに高い評価を得ていたサービスを統合することになったが、PlayStation Now加入者の4分の3がPlayStation Plusにも加入しているなど、コミュニティのために改善の余地があると感じていた」と理由を説明し、「新サービスの反応はポジティブである。PlayStation Plusのビジネスを拡大でき、1人当たりの平均支出額も増やすことができるだろう」と述べた。

 新たなPlayStation Plusは、まずは日本およびアジアでサービス開始し、今後、米国、欧州にも展開する。2022年3月末時点でのPlayStation Plusの加入者数は4740万人であり、2022年度には5000万人以上の加入者数を目指すという。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]