最近の自動車は、特別な電波を発するスマートキーに対応しており、キー側のボタンを押すことなく自動車を解錠したり、エンジンを始動したりできる。スマートキーを鞄やポケットに入れたまま解錠できて便利だ。ただし、この電波を中継する「リレーアタック」という手口が使われると、持ち主が離れているときに自動車を盗まれてしまう。
これに対し、Ford Motor傘下企業のFord Global Technologiesはスマートキーの位置情報などを確認するリレーアタック防止技術を考案。この技術を米国特許商標庁(USPTO)へ出願したところ、米国時間5月5日に「SYSTEM FOR PREVENTING VEHICLE KEY FOB RELAY ATTACKS」(公開特許番号「US 2022/0139129 A1」)として公開された。出願日は2020年10月29日。
この特許は、スマートキーと自動車の位置関係を取得しておき、その履歴データを参考に解錠して構わないかどうか判断する技術を説明したもの。スマートフォンの位置は、対応する自動車との通信データだけでなく、持ち主のスマートとフォンや何らかの基地局との通信状態も利用して記録する。
このような情報から、本物のスマートキーが自動車の近くにあるかどうか判定し、近ければ解錠する、という制御が可能になる。近くにない場合は、スマートキーの画面などに「解錠するにはボタンを押してください」といったメッセージを出して、キーの手動操作を促す。こうすることで、単純なリレーアタックは実行できなくなる。
また、特定の場所で自動解錠するアイデアにも言及している。たとえば、安全な自宅のガレージ内に駐車しているときだけ自動解錠する、といった応用が考えられる。
なお、特許とは、技術的アイデアの権利保護を目的とした公的文書である。登録されて成立しても、実際の製品やサービスで利用されるとは限らない。さらに、アイデアの存在を公知の事実にする目的で出願され、登録に至らず公開止まりになるものも少なくない。
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