メルカリは5月11日、インド共和国のベンガルール市に技術開発拠点となる「Mercari India Private Limited(仮称)」を6月頃に設立すると発表した。
日本とインドを横断した国際的な躍進を支える組織により、「グローバルテックカンパニー」の実現に向けた成長を加速させる狙いだ。
Mercari India Private Limitedは、ソフトウェアエンジニアをはじめとした技術系人材を中心に、メルカリの日本国内事業の開発、メルカリUS事業の開発などに携わる。
オフィスは、夏を目処にベンガルール市内のIT工業団地(テックパーク)に開設し、初年度で50~60人ほどを集める予定。リモートと出社を柔軟に選択できる「ハイブリッド型ワークスタイル」の導入など、これまでのメルカリの知見を活かし、多様な人材が活躍できる環境づくりに取り組んでいくという。
経営体制(予定)は、メルカリで執行役員 Mercari JP CTO を務める若狹建氏が取締役 Managing Director。また、エンジニアリングマネージャーを務めるモハン・バットカル氏はHead of Engineering、野崎純一氏は取締役 Head of Corporateに就任する。資本金は3000万ルピーの予定。
経済産業省の「IT人材需給に関する調査(PDF)」によれば、日本国内のIT市場は2030年に最大で約79万人の人材が不足すると試算している。新型コロナウイルス感染症拡大の影響でITの需要は拡大しており、海外の技術系人材を含めた多様な人材の確保がより一層重要になる。
また、インドの技術系人材の活用は、第14回日印年次首脳会談が行われた際に公表された日印首脳共同声明でも、日本企業におけるインドの高度技術系人材の就労や、連携を通じたデジタル経済の強化といった期待が示されている。
メルカリは2013年の創業以来、「新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る」というミッションのもと、個々の多様な経験や視点を尊重した、世界的に競争力のあるチームづくりを目指している。
2017年から海外採用を本格的に実施しており、なかでも毎年約150万人の工学系の学生が卒業し、優秀な技術系人材が数多く集まるインドからの人材を積極的に採用している。2018年にはインド工科大学の卒業生を29人採用した実績がある。
若狹氏は「現在のメルカリ東京オフィスは、40カ国以上のメンバーが集まっている。エンジニアリング組織は約50%が日本国籍以外の社員で、社内におけるダイバーシティも加速している」と説明。多様なバックグランドは多様な視点につながり、“暗黙知”の削減に貢献していると語った。
また、メルカリは、フリマアプリ「メルカリ」「メルカリUS」、スマホ決済サービス「メルペイ」といった基幹事業に加え、2021年にEコマースプラットフォーム「メルカリShops」を開始。暗号資産やブロックチェーンなどを事業とするメルコインの設立、物流サービスを事業とするメルロジの設立など、新規事業の展開も加速しており、ミッションの実現に向けた技術系人材への投資に注力していく考えだ。
拠点の設立は、コロナ禍に伴う水際対策の影響で人材が獲得しにくい現状や、今後のさらなるグローバル展開などを見据えた決断となる。若狹氏は「われわれが目指す『グローバルテックカンパニー』の実現に向け、世界中から受け入れられるプロダクト、世界的なマーケットプレイスを作るというミッションを達成するためには、作り手である社員の多様な視点を取り入れた組織づくりが必要不可欠。世界から多様な“テックタレント”が集まる組織を作っていきたい」と語った。
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