パナソニック ホールディングスは4月22日、日本初となる完全遠隔監視、操作型の自動配送ロボットの道路使用許可を取得に関し、オンラインセミナーを開催。ロボット開発の背景などを説明した。
パナソニックでは、神奈川県藤沢市の「Fujisawaサスティナブル・スマートタウン」(Fujisawa SST)において、2020年11月に実証実験を開始。ロボット1台からスタートしたが、その後2021年2月に2台、6月に3台と数を増やし、現在は、遠隔監視、操作者1名でロボット4台のフルリモート型運用を実現している。
パナソニックホールディングス テクノロジー本部モビリティソリューション部部長の東島勝義氏は「信号機のない横断歩道がたくさんあり、遊んでいるお子様も多い。狭い道路、歩道もあり、人とのすれ違いが多い。車、バイク、自転車が混在しているのがFujisawa SSTの環境の特徴。自動配送ロボットを複数台、遠隔から操作するにはオペレーターの負荷もかなり大きくなる。今回、これらをどう解決していくかに取り組んだ」許可取得までの過程を説明した。
自動配送ロボット本体には、複数のセンサーとカメラを搭載。カメラはAIを用い、日々運行している学習データを取得。これらを使って、路上の小さな物体などを見逃さず、遠方の車、自転車なども、確実かつ早期に検知しオペレータの監視を支援しているという。
「オペレーターの負荷を減らすことで複数台のロボットが運用可能になる。このため、オペレーターの操作にむだがあってはいけない。操作のユーザーインターフェース分析と、AIによって見るべきところを自動判別して判断するなど、必要な情報のみをサポートすることで負荷を減らしていった。これらの取り組みにより実用化に向け大きく前進できた」(東島氏)とポイントを話す。
すでに約2年間の走行実績を持つFujisawa SSTでは、自動配送ロボット自体が子どもに大人気だったとのこと。「便利ということももちろんだが、街が楽しくなった、良い雰囲気がつくれるようになったなどの声が挙がっていた。なかでも『曲がります』などロボットが言葉を発することで、住民の一人として受け入れられたと思っている」(東島氏)とコメント。実証実験では焼き立てパンを届けるというサービスも実施したが、「本当に焼きたてでうれしい」などの声も多く聞かれたという。
パナソニックホールディングスでは、今回進化させた技術を搭載した小型低速ロボットや遠隔管制システムをエリアモビリティサービスプラットフォーム「X-Area(クロスエリア)」と命名。今後、ユーザーのニーズに応じて提供し、くらしに寄り添う次世代モビリティサービスの世界の実現を目指していくとのこと。5月からFujisawa SSTにて商業施設から住民に商品を届ける実証サービスを提供予定だ。
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