キヤノンは4月21日、現実映像とCGをリアルタイムに融合するMR(Mixed Reality:複合現実)システム「MREAL(エムリアル)」シリーズの新製品として、広視野角モデルのヘッドマウントディスプレイ(HMD)「MREAL X1」を、2022年6月上旬に発売すると発表した。
MREALは、ビデオシースルー方式により、現実世界とCG映像を違和感なく融合。あたかも目の前の現実に3DCGが存在しているかのような臨場感を提供するMRシステムとして展開。製造業大手中心に100社を超える導入実績がある。今回のMREAL X1は表示面積の拡大により検証効率や臨場感の向上を実現。製造業をはじめ、幅広い分野での3D データを活用したDXの推進に貢献するという。
MREAL X1の質量は約359g、大きさは約186(幅)×150(奥行)×250(高さ)mmの小型かつ軽量設計を実現。使用時の負担を軽減することで、長時間の作業にも対応している。2021年2月に発売したエントリーモデルの「MREAL S1」と比較して、質量の増加は約21gに抑え、表示面積を約2.5倍に拡大している。
特にユーザーからの要望で多かったという、縦方向の視野角を拡大。これにより、大きく頭を動かすことなく視認エリア全体の確認が可能となっている。一度に視認できる範囲が拡大したことで、大型の商品や設備などの全体的なイメージの確認や、対面での作業検証や、自分の立ち位置を確認しながらの作業検証などにも使用可能としている。
ディスプレイ部には、高さ調整機構や眼幅調整機構により、個人の頭部形状に応じた位置調整が容易に可能。またフリップ方式により、HMDを装着した状態から素早く目視に切り替えができ、本体を装着したまま周囲の確認をすることやメモを取ることもできるという。
遠隔地間を接続し、3DCGを共有することができるため、人の移動に制限がある状況下での業務支援といった活用もできる。物理的に離れていても同じ空間にいるかのようなコミュニケーションがとれるため、言語化が難しい情報の共有や、移動時間および移動コストの削減が可能。また、空間特徴位置合わせ技術を活用することで、別売りの位置合わせ用光学センサーが常設されていない現場や、設置が困難な屋外でも高精度な位置合わせを実現しているという。
モバイルワークステーションへの対応で、システム全体の小型、軽量化により、さまざまな場所に持ち運んでの利用が可能。屋外の建設予定地で建物完成後の姿を関係者間で共有することや、営業先でのプレゼンテーションへの利用など、新たな営業スタイルの提案もできるとしている。
また主要ターゲットとなる製造業や建設業だけでなく、医療領域におけるCGにでのトレーニング活用や、空間全体を3Dデータ化するボリュメトリックビデオ技術を活用し、イベントなどエンターテイメント領域などでも活用も視野に入れるなど、さまざまな用途で展開していく考えがあるという。
MREAL X1を採用したシステム導入価格は350万円から(MREAL X1本体はオープン価格で、想定市場価格は200万円強)で、用途やシステム構成によって価格は変動。MREALシリーズ全体としての販売目標として、日本国内において2025年までに年間1000台以上の販売を目指すとしている。
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