米国のJanet Yellen財務長官は、仮想通貨や中央銀行デジタル通貨(CBDC)といったデジタル資産の規制をめぐる展望について、さらに少し詳しい見解を明らかにした。
同氏によると、デジタル資産は爆発的に成長しており、時価総額はわずか5年前の140億ドル(約1兆7400億円)から2021年11月には3兆ドル(約370兆円)に達したという。
デジタル通貨は米政府にとって注目の話題となっている。Joe Biden大統領は3月、デジタル資産について検討するよう連邦各機関に求める大統領令に署名した。デジタル人民元の実証実験を進めている中国がはるかにリードしているこの分野で、米国は主導権を握りたいと考えている。
Yellen氏は、「CBDCは中央銀行が責任を持つものとして、物理的な現金に匹敵する信頼できる貨幣の1形態になり得るが、デジタル資産に見込まれる利点をもたらす可能性も秘めている」と述べた。
CBDCは通常、国の中央銀行が発行する。米連邦準備制度理事会(FRB)はCBDCを発行することの是非を調査している。Biden氏は大統領令で、FRBに調査を加速するよう求めるとともに、財務省には「貨幣の未来」に関する報告書を作成するよう指示した。
FRBは1月に公開した討議資料の中で、特定のCBDCが普及した場合、国際貿易において他国のCBDCが米ドルの優位を脅かす可能性があるとして懸念を表明した。
3月に下院に提出された法案では、FRBによるCBDCの取り組みを補完するものとして、財務省に対し、現金と同等の匿名性を備えるデジタル通貨を試験的に導入することを求めている。この法案の狙いは、米国のデジタル資産に関する計画を加速させることだ。
Yellen氏によると、「貨幣の未来」に関する財務省の報告書では、「これから誕生するかもしれないCBDCに関連して考えられる設計の選択肢と、決済システムや経済成長、金融の安定、金融包摂、国家安全保障に及ぼす影響」を分析するという。
「どのような結論に達するかはまだ分からないが、CBDCの発行については、開発に数カ月ではなく数年を要する設計上およびエンジニアリング上の大きな課題になりそうなことを覚悟しておかなければならない」(Yellen氏)
さらにYellen氏は次のように述べた。「人々の生活を向上させながらリスクを適切に管理する技術革新を取り入れるべきだ。しかし、過去の『金融分野における技術革新』が、勤労者世帯のためにならなかったことが多すぎ、時には不平等を拡大したり、違法融資のリスクをもたらしたり、金融システムのリスクを高めたりしたことも、心に留めておかなければならない」
「規制の枠組みは、リスクを管理する一方で責任ある技術革新を支援するように設計するべきだ。金融システムや経済を混乱させる可能性があるものについては、特にそれが言える」
「銀行など、従来型の金融機関がデジタル資産市場への関与を深めているため、規制の枠組みは、こうした新たな活動のリスクを適切に反映する必要がある。デジタル資産取引所など、デジタルネイティブな新タイプの仲介業者は、適切な監督の対象であるべきだ」
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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