ウクライナのMykhailo Fedorovデジタル改革相は、Appleの最高経営責任者(CEO)Tim Cook氏に「App Store」へのロシアからのアクセスを遮断することなどを求める公開書簡を送り、その内容をTwitterに投稿した。また、TeslaのCEOであるElon Musk氏には、同社の衛星インターネットサービス「Starlink」をウクライナで利用できるようにしてほしいとツイートした。Appleはロシア国内の直営店とApp Storeを閉鎖し、Starlinkは衛星サービスの提供を開始した。
こうしたメッセージが国民に届くことを防ぐため、ロシアはFacebookやTwitter、Instagram等のソーシャルメディアサイトへのアクセスを禁じた。しかし、一部の国民はこの事実上の情報統制を迂回しているようだ。Instagramはロシアで最も人気の高いアプリの1つで、約6500万人のユーザーを擁し、ロシアのVPN需要をけん引している。
ウクライナのAlex Bornyakovデジタル変革担当副大臣はFacebookとTwitterについて、米CNETにこう語った。「以前は(こうしたSNSを)ロシアの人々に働きかけるために使っていた」「しかし、ロシア政府がアクセスを遮断したため、ロシアの人々に接触する手段が減っている」
Zelenskyy氏はソーシャルメディア時代にふさわしい語り手だ。俳優から政治家に転身した同氏は、画面上で存在感を示すことの重要性を理解している。自分の人間らしさも隠さない。ウクライナの置かれた厳しい状況、そしてロシアに囚われた場合の自分自身のリスクをはっきりと認識していることは、画面からも伝わってくる。それでも国民のために献身的に行動する姿は人々の心を捉え、揺さぶった。
17日、同氏がある病院を訪れ、入院中の少女にサプライズでお見舞いの花束を渡す動画がTwitterに投稿された。同氏はこのKatyaという少女から、TikTokで自身がスターになっていると教えられ、「われわれはTikTokを占拠した!」と返した。
Ukrainian President Volodymyr Zelenskyy surprised a teenager who is hospitalized after saving her little brother's life.
— CBS News (@CBSNews) March 17, 2022
While Zelenskyy brought her flowers, she also had a surprise for the president — telling him he's a star on TikTok. pic.twitter.com/1EKWKbeCb7
「ソーシャルメディア戦略の成否はメッセージの発信者にかかっている」と指摘するのは、米ニューヘブン大学の政治学・国家安全保障准教授のChris Haynes氏だ。「彼(Zelenskyy氏)のカリスマ性、したたかさ、スキルセットの重要性は、いくら強調してもしきれない」
ウクライナはTwitterの公式アカウントを使って、自分たちはオンラインカルチャーの一員であること、つまり、ロシアが明確に拒絶しているオンラインカルチャーに自分たちは参加していることを示した。ウクライナは辛辣なツイートだけでなく、ミームや風刺漫画も投稿することで幅広い支持を集めている。
— Ukraine / Україна (@Ukraine) March 12, 2022
米チャップマン大学のマーケティング准教授、Niklas Myhr氏はEメールの中で、「ソーシャルメディアは国内外に桁外れの影響を与えることがある」と指摘した。ウクライナがロシアの一般市民に働きかけるためには、ロシアで人気のあるソーシャルメディアプラットフォームを活用する必要があるとMyhr氏は言う。
ウクライナのソーシャルメディア戦略は、今なお国営放送や紙媒体を中心に情報を発信しているロシアとは対照的だ。現在、ドイツのDeutsche WelleやロシアのTV Rainといった独立系報道機関はロシア国内での報道活動を停止している。BBCは、ロシアが厳しい検閲法を導入した影響で3月初めに報道活動を停止していたが、その後再開した。この法律により、ロシアが展開している活動を「戦争」や「侵略」と表現したジャーナリストは、最長15年の禁固刑に処される可能性がある。
ロシアは現在、BBC等のメディアへのアクセスを遮断している。
ウクライナのBornyakov副大臣は、ロシアの人々に働きかける新しい方法を計画していると語ったが、詳細は明かさなかった。これまでにウクライナが示してきた機動力を考えると、新しい方法は効果を上げそうだ。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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